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医療ビレッジの落とし穴

2009年04月01日配信
カテゴリ:クリニックの開業場所

開業場所を考えるときに、まず、競合先のない場所と言うのが はじめに浮かんできます。

都心ではそんな場所はなかなか見つかりませんので、開業場所は 徐々に郊外に広がって行く傾向にあります。

土地活用の新形態、医療ビレッジの実体

そこで、郊外型の開業形態としてハウスメーカーや調剤薬局さんが、 あちこちの地主さんに土地活用の新形態として、医療ビレッジの 構想を提案しています。

土地活用というと、以前は、アパートやマンションの賃貸物件が 主体でした。

駅に近くて立地条件の良い場所に土地があれば、入居者の募集も 不動産業者に任せておけば簡単で、賃貸物件としての利回りも 安定していますので、地主さんには好都合なのです。

でも、最近は良い場所が少なくなりましたので、一般の賃貸物件 としては入居者が決まらなかったり、利回りが悪くて使いようの ない土地が沢山残るようになってきました。

ハウスメーカーとしては、そんな遊休地にも建物を建築するための 提案をする事で、建築工事を請け負うと言う考えです。

医療ビレッジの問題点

確かに、一般的には駅から離れた場所であれば、競合先も少ない ので患者さんの確保はしやすくなると思います。

ただ、元々の発想が土地の有効活用と地主さんの安定収入の確保 と言うところにありますので、当然、そこには契約上の色々な縛り が出てきます。

1つ目は、賃料の問題です。
利回りを重視しますので、当然、近隣相場より高めの賃料設定が なされます。

交渉によって多少は調整することも可能でしょうが、通常はそこで 開業する医師が決まってから建築に掛かりますので、建築費用を 支払っても十分に利益の上がる賃料設定での契約となります。

2つ目は、契約期間の問題です。
通常の賃貸物件としては、入居者を集めにくい場所での建築となる ことと、入居するドクターのお好みのレイアウトで、クリニックを 造りますという事ですので、万一、契約した医師がそこを出てしま うと、その後に入居する医師を見つけることは困難になります。

そこで、建築資金を回収する前に、テナント物件が空き家にならない 様にする為には、入居契約の際に15年間程度の長期間の賃貸借契約 を結ぶ事になります。

これは建築のために地主さんが借り入れる、アパートローンなど の銀行融資が最長15年であることから、地主さんの返済が終わる までは入居契約を解除する事は出来ないという事です。

長期間の賃貸借契約のリスク

15年の間順調に経営できれば問題は無いのですが、おそらく その様なことは希です。

まず、競合先ですが、これからも増えていくことは確実です。

多くのハウスメーカーや、調剤薬局さんなどが同様の構想を近隣の 地主さんに提案しますので、1件成功事例が出来れば、他社が その後に同様の計画を提案することがたやすくなってきます。

これまで診療圏としてカバーしていた地域に新しい施設が出来ると、 従来の診療圏が全く変わってしまいます。

クリニックの診療圏は、近所に競合先が1件でも出来るとガラッと 変わってしまうと言う恐ろしさがあります。

これまで、近所に医療施設がなかったからと言う理由で来院して いた患者さんは、当然近くに出来た新しいクリニックに通院する 様になります。

医療ビレッジは、元々が人口密度の低い地域での土地活用として企画 されますので、従来の診療圏が変わってしまうと、当然クリニック に来院する患者さんも減って、経営に大きな打撃を受けることに なります。

また、経営が順調に行って患者さんが大勢来院した場合にも、従来の 施設を出て、大きな建物に移転すると言うことも出来なくなってしまいます。

いずれにしろ、15年間などという長期間の契約の縛りというのは、 良くも悪くも、様々な制約を受けることになります。

今日の医療環境も、ご自身の家庭環境も15年間の間には大きく変わる 可能性があります。

いつの時代にも、柔軟な対応が出来ることが、永い経営の舵取りをする 為に必要なことではないでしょうか。

『医療ビレッジの落とし穴』開業場所を選ぶ際の参考にして頂ければ 幸いです。

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