皮膚科・美容皮膚科医院の開業を支援するクリニック開業コンサルティング

皮膚科・美容皮膚科クリニックの医療環境

かつての皮膚科医院のイメージ

かつての皮膚科医院のイメージというと、割と地味な感じがしていたのでは無いかと思います。そもそも皮膚科という診療領域の始まりは、泌尿器科・皮膚科という時代に遡りますが、昔の日常の生活環境の中では、そもそも皮膚科疾患自体が少なかったような感じがいたします。

ところが、現在では皮膚科疾患の患者さんが増えている状況があります。

水虫(足白癬)

例えば、皮膚科医院に多くの患者さんが通院する水虫などは、会社勤めのサラリーマンが多くなってきて、多くの人が革靴を履き始めた頃から増加してきたような感じがいたします。

会社勤めのサラリーマンが増えてきたのは、昭和40年代の高度成長期に始まりますが、スーツに革靴を履いて通勤する人が増えたことにより、日常生活の中で下駄やサンダル・草履などを履く人が少なくなってきました。

これは、高温多湿の気候条件の中で送る日常生活に適合した風通しの良い履物から、乾燥して湿度の低い欧米で使用されてきた革靴を履くようになった、ライフスタイルの転換に大きな原因があると思われます。

気候条件に適合しない履物であることと、さらに本革の製品が高価であることから、多くの人が合成皮革などの安価な履物を利用することで、さらに革靴の中の密閉性が高くなって、水虫となる真菌の繁殖に最適な環境をもたらすことになったことが大きな原因とも言えるでしょう。

実際、靴底まで本革張りの通気性の良い革靴を買おうとすると、安い製品でも3万円以上はしますが、見た目の変わらない合成皮革でゴム底の靴であれば5千円程度から買うことができます。

多くの人が価格の安い革靴を利用することにより、今の日本では水虫の患者さんが減ることはなくなってしまいました。

アトピー性皮膚炎

皮膚科クリニックではよく患者さんが来られる症状として、アトピー性皮膚炎があります。アトピー性皮膚炎は、アレルギーや食品添加物の多い食生活をはじめとする生活環境の複雑化が大きな要因となって増加してきた疾患と言われています。

2017年では、アトピー性皮膚炎の患者数は45万人と言われ、年々増えてきているようです。

昔はなかった、あるいはごく稀であった疾患が増えてきたことにより、かつてのような泌尿器科で性病治療の関連としての皮膚科診療から、独立した皮膚科の診療領域が形成されてきました。

皮膚科医院と美容皮膚科医院の診療

皮膚科医としての開業には、皮膚科医院と美容皮膚科医院、もしくはその両方の選択があります。

保険診療を主体とする皮膚科医院

従来の皮膚科医院は保険診療を中心として、顕微鏡が1台あれば間に合う身軽なスタイルの開業ができる診療科でした。

反面、濃厚な診療を必要とする事が少ないために、来院する患者さん1人あたりの診療単価が低いので、大きな売上を上げる事が難しいと言われていました。

要するに、保険診療の皮膚科医院はそれほど大きな利益を上げる事が期待できないというのが一般的な認識でもありました。

開業医となられたドクターの中には、大学病院に皮膚科専門医として勤務していながら、皮膚科医院を午後だけ半日開業しているというドクターもおりました。

そのようなことから皮膚科医院を開業する場合に選ぶテナントは、面積が小さくて家賃の安い場所を選んで開業する医師が多くいました。

ところが、工業生産力の増大に伴う高度成長期を通じたライフスタイルの変遷や、アレルギー性疾患の増大により、皮膚科の診療領域が多岐にわたり拡大してきた事が、診療内容の多角化と高度化を推進するようになりました。

そのため、クリニックの設備が多くなり、クリニックの面積も広めのところが必要となって来たのです。

自費診療を中心とする美容皮膚科医院

皮膚科を専攻する医師の中でも女性医師の割合が多くなってきました。そうした傾向の理由の1つには、病院勤務をする中で大きな手術や生死に関わる疾病が他の診療科と比べると少ないことです。皮膚科医は、術後管理のための当直や宿直といった体力を使うハードな勤務も少ないので、女性医師の勤務形態としても歓迎される診療科目であるということでしょう。また皮膚科を専攻する女性医師の割合が多くなってくる事から、必然的に美容に対する関心も増えてきました。

皮膚疾患の治療から、皮膚のコンディションを整えてシワやシミを取ったり、若かりし頃の色白の肌艶を取り戻すような治療に、診療の領域が広がって来るようになりました。

このような美容の領域は当然保険診療で対応できるものではありませんので、自由診療となり、患者さんが治療費の全額を支払う自費の診療となります。

これらは自由診療の名の通り、治療の料金を施術者である医師が自由に設定する事ができます。

つまり美容整形と似たような料金設定が可能ということになりますので、診療単価の低い保険診療から、女性や高齢者の多くが望む美容皮膚科という診療単価の高い皮膚科領域の診療が現れることになりました。

自費診療の治療料金は、顧客の満足度に応じて自由な設定ができることから、女性医師に限らず男性の皮膚科医師の中からも、従来の皮膚科医院があげる売り上げを大幅に上回る、美容皮膚科を標榜する皮膚科クリニックの開業が増えてきました。

診療の幅を広げて幅広く集患できると、クリニック経営が安定してきます。これから新規開業を目指されるのであれば、皮膚科と美容皮膚科の両方の診療ができるようになることが望まれます。

美容皮膚科治療を取り入れ開院直後から患者さんが増加した皮膚科医院の事例

お顔のシミやシワを取りたい高齢者でにぎわった新規開業のクリニック

数年前に郊外の住宅地で皮膚科医院の開業をサポートしたときのことです。

開業直前の日曜日に内覧会を開いたところ、たくさんの来訪者が訪れて盛況のうちに内覧会を終える事ができました。

そしていよいよ開院の当日を迎えたところ、クリニックを開く前からなにやらたくさんの人がクリニックの入り口の前に集まり始めたのです。そこに集まった人たちのほとんどが高齢の方達でした。

もちろん男性も女性もいらっしゃって、お顔のシミやシワを取りたいという相談に来ていたのです。

開業コンサルティングでアドバイスしたこと

その皮膚科医院は女医の院長先生でしたが、小学校に通うお子様の子育てをしながら、医師としての仕事も無理なく続けたいとのご希望から始まった新規開業でした。

そこで、お子様が通う小学校から近く、また駅近くの好立地に家賃のお安い小さなテナントを借りて、保険診療を主体とする午前中の開業を中心とした時短開業を計画しました。

病院に勤務していた頃は、当然ながら保険診療を中心とした皮膚科の診療をしていたので、開業するにあたってはそのままの診療スタイルを考えていたようです。ところが、コンサルティングで地域をマーケット分析したところ、アンチエイジングを実現出来る美容皮膚科を求めている人が多く住んでいることがわかりました。そこで院長先生に、「クリニックを開院する郊外の住宅地にお住いの方達も、美容や若返りに対する要望は強いので、美容に関する診療も取り入れると喜ばれると思います。」というアドバイスをさせていただきました。

女医の院長先生は、そのアドバイスを受け入れてくださり、美容皮膚科も行えるような設備を整え、保険外診療の価格設定やプロモーションも入念に検討ました。

主なプロモーションは、近隣へのチラシ配布ですが、チラシ配布で集患に成功するためには、チラシの内容だけでなく配布するタイミングといったさまざまな要因があります。当社のコンサルティングでは、このような細かなことまでアドバイスしています。

美容皮膚科治療と価格設定が地域のニーズにマッチ

都心に行けば、自費診療で高い効果を宣伝している美容皮膚科はたくさんありますが、当然、診療の料金も高額になります。

例えば銀座には美容皮膚科のクリニックが沢山あります。そうしたクリニックは自費診療が主体であり、高額の治療費を支払うことに不自由しないセレブのお客さんがたくさん集まって来るので、見るからに豪華な内装を施した美容皮膚科クリニックばかりです。

ごく普通の生活をしている人や、年金生活をしている人たちから見ると、美容皮膚科で行われる若返りの治療に関心は高いものの、「自分たちの収入で治療費が支払えるようなクリニックではない」と諦めてしまっているのが現実です。

銀座のブランド店で日常的にお買い物ができるのが、富裕層に限られているということと同じことです。

美肌や若返りの治療に関するニーズは高いものの、治療費の高い事がネックとなっている美容皮膚科の診療を、地域の住民や高齢者が受けやすい価格設定にする事で、多くの患者さんに来院していただく事ができます。

クリニック開院前のプロモーションでは、皮膚科の通常の保険診療に加えて美容皮膚科の治療を、地域に住む人たちが受け入れやすい価格に設定することと、内覧会でもレーザー装置などの展示と治療内容の説明をする事で、多くの方達の関心を集める事ができました。

その結果、開院初日にたくさんの方達がクリニックの前で診療が始まるのを待っているという状況となりました。

皮膚科・美容皮膚科医院の開業場所選びのポイント

皮膚科・美容皮膚科を新規開業して経営を成功させる大事なポイントの1つに、開業場所選びがあります。開業場所選びには、立地とテナントの選び方があります。

立地の良さは絶対条件

皮膚科医院に受診する患者さんの多くは、水虫や火傷やヘルペスなどといった比較的軽度の疾患が中心です。これらの疾患は、患者さんの数は多いのですが治療の効果も早く出てくるので、同じ患者さんが受診する回数が少ないために、常に新規の患者さんに来院していただかないとクリニック経営が厳しくなっていく傾向があります。

皮膚科医院に来院する患者さんの中には、薬局で軟膏を買うよりも皮膚科医院に行って保険で診てもらった方が、よく効く薬が安く手に入るという理由で診察を受けに来る人もいます。

一般的には、街中の皮膚科医院に皮膚ガンなどと言った命に関わる病気で通う人はいません。薬局で薬を買うよりは保険で安く診てもらえることが魅力で、皮膚科医院に受診する患者さんも多くいます。

そのような診療ですと、クリニックの売り上げは基本的な診察料が中心となりますので、初診料や顕微鏡検査などの診察料は初診時こそ高くなるものの、再診時には100点を少し上回る程度の報酬しかあげられません。そのため、3分診療で薄利多売のスタイルを続けていく事が、安定経営には必要だったのです。

かつては地域で開業している皮膚科医院自体が少なかったこともあって、半日で100人くらいの診察をしていた皮膚科医院も多かったようです。これぐらい多くの患者さんの数ですと、診療報酬が低くても売上高はそこそこ入りました。ところが、現在ではそのようにはいきません。

極論ですが、皮膚疾患はすぐに病院に行かなくても済むような軽い病気なので、患者さんにとっては、コンビニと同じ感覚で「近くで場所がわかりやすい」という事が、皮膚科医院に受診するための大きな動機になります。皮膚科医院開業の基本は、わかりやすい場所にこだわる事が開業成功の定石です。

レーザー装置の導入には大きな電源が必要

立地条件の良い場所にテナントが見つかっても、皮膚科・美容皮膚科クリニックが開業できない場合もあります。

レーザー治療器の種類と電源

美容皮膚科に導入されるレーザー治療器には様々な種類があります。ごく一般的なCO2レーザーの機器は価格が比較的お安く、クリニックの通常の100Vのコンセントの電源で使用できます。

ところが、脱毛や美白・シミ取りなどに効果のあるレーザー治療器の多くが、単相200Vの30Aという大変大きな電源を必要とします。

一般的なテナントビルの場合には、50A程度の電源が来ていますがこれではレーザー治療器の電源を賄うのに十分とは言えません。

テナントに求められる電源容量

美容皮膚科医院の施術の特徴として、複数のレーザー治療機を同時に使用するという事が挙げられます。それは、レーザー治療装置の多くを医師が自ら操作するのではなくて、経験のある看護師さんが操作して施術を行うからです。

レーザー脱毛の施術をしながら、美白の施術をしたり、腹部の脂肪組織を取り去る冷凍処置をしたりと言うように複数の治療装置を同時に稼働させる事が多くあります。

そのような場合には最低でも75Aの電源を確保するか、複数のレーザー装置を同時に稼働させる場合には100Aという大きな電源が必要になります。

そのために、美容皮膚科医院を開業するためのテナントビル探しの際には、レーザー治療機を導入するために必要な電源の確保が可能であるかどうかということに関して、正確な判断をしなくてはなりません。

テナント契約をした後で、必要な電源の確保ができない事が分かったら大変なことになってしまいます。

レーザー治療器が使用できるテナント探しで苦労したエピソード

当社で美容皮膚科医院のテナント探しをした時にも、ビルの構造上どうしても75Aの電源の確保ができないことを検証したため、立地条件の良いテナントビルへの申し込みを諦めて、改めて別のテナントを探したことも何度もありました。

また、あるテナントビルでは、もともと50Aの電源が来ていたので、美容皮膚科医院の開業のために、100Aの電源が必要であることをお話ししたところ、ビル全体の電源に余裕があったために、電源の増設を了解していただきました。

ところが大家さんの理解では、現在50Aの電源が来ているので、もう1つ50Aの電源を引いてくれば2つ合わせて100Aの電源を使えることになるので、それでレーザー装置の稼働に問題はないだろうと言う考えでした。

ところがそもそも50Aの電源を引いてくる電線の幹線ケーブルの太さと、100Aの電源を引いてくる電線の幹線のケーブルの太さは全く違うものなのです。

美容皮膚科医院の施術の特徴は、複数の治療装置が同時に使用されることがしばしばありますので、一度に幹線ケーブルに大きな負荷がかかることになります。そのために、50A用の細い幹線ケーブルが2本あるよりは、100A用の太い幹線ケーブルが1本ある方が安定した電源の供給が出来るようになるのです。

そうしたことをようやく大家さんに理解してもらい、電源の増設工事をビルの管理会社にしてもらったのですが、その費用は100万円以上かかりました。

ビルの形状や電源幹線ケーブルの引き方によってはもっと多くの費用がかかる場合もあります。

それ以前に、技術的にテナント内の電源の増設がどうしてもできない場合もあります。また、ビル自体が小さい場合などは東京電力からレーザー治療機に必要な200V電源の供給を得られない場合もあります。

美容皮膚科医院の開業には、大きな電源の確保は必須条件ですので、こうしたことを念頭に入れて開業場所のテナント選定をサポートしてくれるクリニック開業コンサルを選んでください。

皮膚科・美容皮膚科クリニック開業コンサルならオクスアイ

皮膚科・美容皮膚科クリニックの新規開業コンサルティングなら、実績豊富なオクスアイにご相談ください。

当社では、先ほどご紹介したような美容皮膚科の導入や地域へのプロモーション、立地条件の検討やテナントの電源確認はもちろんのこと、開業後のアフターサービスといった細部まで行き届いたご支援を心がけています。

クリニック開業のアドバイスはもちろんのこと、クリニックの事業計画(経営計画)立案、資金調達支援、開業場所検討支援、クリニックの内装工事支援、各種申請支援、医療機器や電子カルテなどの開業準備のご支援、人材教育、チラシやホームページの制作、開業後の経営相談など、当社1社でクリニック開業の全体的なご支援を、ワンストップで対応しています。

皮膚科・美容皮膚科クリニックを開業して成功させるためには、上記のこと以外にもたくさんの知識とノウハウが必要となります。立地条件の良い場所を探すのに時間がかかる場合が多いので、新規開業を検討されたら、お早めにご相談ください。

当社のコンサルティングサービス

  • 開業相談(無料)
  • 開業候補地の選定(無料)
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  • クリニック開業準備コンサルティング
    • 医師のご事情に合わせた事業計画書の作成(施設概要、資金計画、資金手当て、収益計画、費用の設定、事業収支計画書、資金繰り表)
    • 金融機関との借入交渉(交渉方法アドバイス、交渉資料作成、借入用の事業計画作成)
    • 新規事業に関わる関係官庁との調整(保健所、厚生局、消防署など)
    • 外注業者との契約条件等の調整(外注業者の仕事内容や見積もりの取り方、付き合い方、相場などのアドバイス)
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