循環器内科クリニックの黒字化のための開業準備

循環器内科クリニックを開業して黒字化し、安定経営する方法は、他の診療科目のクリニック経営の方法とは、少し異なります。
その理由は、循環器内科クリニックの患者さんは、高血圧や心臓疾患の患者さんなどで、すでに他のかかりつけ医や病院にお世話になっているので、新しく循環器内科クリニックができたとしても、受診先を変えることはあまり無いからです。
そのため、循環器内科クリニックを開業するときに、集患のための準備をしていなくて、落下傘的に開業をしても、黒字化が難しいことが現状です。
循環器内科クリニックの開業をご検討の先生は、この記事をよくお読みになり、1~2年ほどかけて開業準備をなさってください。
循環器内科クリニックに通う患者さんの特徴

循環器内科クリニックの患者さんは、高血圧や心臓疾患の方なので、そういった患者さんはすでに他のクリニックや病院に通院しています。そのため、近所に新しい循環器内科クリニックができても、通院先を変えることはほとんどありません。
近くにできた循環器内科クリニックに乗り換える理由は、次の2つのうちのどちらかが多いです。
- 1.通っている循環器内科クリニックが遠いので、近くに変えたい
- 2.通っているクリニックの先生に何らかの不満を持っている
クリニックが遠いのであれば、近くに変えたい方は多いと思います。ところが、都内では病院やクリニックが多いので、「通っている循環器内科クリニックが遠い」と感じている患者さんは、少ないと思います。
通っているクリニックの先生に不満を持っている患者さんは、少なからずいらっしゃると思いますが、そう言った評判まで調べることは難しいです。
このようなことで、循環器内科クリニックを落下傘的に開業しても、患者さんがなかなか増えなくて、黒字化させるのが難しいようです。
循環器内科クリニックを早く黒字化させる方法

循環器内科クリニックを開業して、できるだけ早く黒字化させるためには、次の4つのことをおすすめします。
- 1.病診連携をすること
- 2.別の診療科目も取り入れること
- 3.検査の必要な患者さんに来ていただいて診療単価を確保すること
- 4.できるだけ固定費を安く抑えること
1.病診連携をする
病診連携とは、病院とクリニック(かかりつけ医)が連携し、それぞれの機能で役割分担をして、患者さんを紹介し合って適切な医療を提供する仕組みです。
クリニックで診察して「専門的な治療や高度な検査が必要だ」と判断したら、専門の病院へ紹介し、病院での治療で病状が安定したらクリニックに戻ってきてもらって、継続的なケアを行います。このように、患者さんの病状に合わせてクリニックと病院が連携することで、地域全体で質の高い医療を効率的に提供することができます。
ここで「病院は病診連携を望むのかどうか?」ということですが、公的な病院の多くは外来患者が多く受診することから、「できれば継続的な診療は自宅近くのクリニックで行ってもらいたい」と考えているところが多いです。そのため、病診連携を推進している病院も多いです。
今現在お勤めの病院で、病診連携を推進しているのであれば、その病院の近くで開業をすると、現在治療中の患者さんを引き連れて開業ができるので、クリニックの黒字化が早く実現できます。
病診連携が難しい病院にお勤めであれば、勤務先を変えて1~2年ほどお勤めになって、信頼関係を築いてからの開業をおすすめすることもあります。
2.別の診療科目も取り入れる

循環器内科は、高血圧や心臓疾患などの患者さんを専門としていますが、それだけではなかなか患者さんが増えないので、糖尿病や花粉症などの診療や予防接種などもできるように、幅広い内科疾患を診察できる様にすることもおすすめです。
循環器疾患以外の診療も行って患者さんが来院してくださるようになり、収益が得やすくなります。また、クリニックの認知度が高まれば、循環器内科の患者さんも少しずつ増えていくようになります。
3.検査の必要な患者さんに来ていただいて診療単価を確保すること
循環器内科クリニックでは、レントゲンや血圧脈波、心電計、心エコー検査といった医療機器を取り入れることは当然のことと思います。そうした医療機器を使って必要な検査を行うことで、診療単価を高めることができます。
一般内科での保険診療では、患者さん1人当たりの診療単価は6,000円程度です。循環器内科クリニックで必要な検査を行うと、診療単価は9,000円~10,000程度と1.5倍ほど高くなります。
ところがそうした検査は、診察の必要性に応じて行われるものであり、診療単価を上げる為に多くの検査を行うことは本末転倒となります。その為には本当に検査を必要とされる患者さんに来ていただける様に新患の来院比率を上げていく事が求められます。
ただし、クリニックを開業した直後は、できるだけ経費をかけないようにして黒字化を目指すことが健全な経営の基本なので、必要不可欠な医療機器を揃えてから、有ったらいいなと思う様な医療機器は必要性を感じた時に導入すべきかどうかを検討してください。
4.できるだけ固定費を安く抑える

固定費とは、クリニックを開業したときに、患者さんの数とは関係なく毎月固定でかかってくる費用のことです。主な固定費は、次のものがあります。
- 地代家賃(テナント賃料や駐車場代など)
- 人件費(スタッフの給料や社会保険料など)
他にも、水道光熱費、医療機器などのメンテナンス費用も固定費になります。
固定費が高くなると、たくさんの患者さんを診療して利益を出さないと、赤字になってしまいます。固定費を安くできたら、患者さんの数が少なくても黒字化しやすくなります。
固定費のところは、クリニックの黒字化にとってとても大切ですから、これから循環器内科クリニックを開業して経営者を目指す先生に覚えておいてもらいたいことなので、少し詳しく解説いたします。
固定費と黒字化の関係と損益分岐点
循環器内科に限らず、クリニックが黒字になるためには、売上高が経費を上回る必要があります。
黒字・・・売上高>経費
赤字・・・売上高<経費
売上高は、患者さんを診療して得られる売上高です。保険診療と自費診療、そして物販で得られた売上高の合計です。経費には、固定費と変動費があります。固定費は、先ほど説明したように、地代家賃と人件費が大きな金額を占めます。
変動費とは、患者さんを診療したときにかかる経費のことです。例えば、医薬品、血液検査装置の試薬やディスポ製品といった診療材料などです。売上高から変動費を引いた金額が粗利益です。また、固定費は、経費から変動費を引いたものになります。
粗利益=売上高-変動費
固定費=経費-変動費
黒字になるか赤字になるかは、この粗利益の合計が固定費を上回るかどうかで決まり、上記の黒字と赤字の不等式は、次のように表すこともできます。
黒字・・・粗利益>固定費
赤字・・・粗利益<固定費
ちなみに、粗利益と固定費が同額になったときの患者さんの人数が、損益分岐点です。この損益分岐点よりも多くの患者さんを診療すれば黒字となり、少なければ赤字となります。
「1日にどれだけの患者さんの数を診察しないと黒字にならないのか?」という計算は、固定費と患者さんの診療単価、クリニックの診療日数によって計算ができます。
例えば、固定費が毎月400万円かかるクリニックを経営していたとします。そして、1ヶ月の診療日数が20日、診療単価が9,000円(循環器疾患の患者さん)とすると、損益分岐点となる1日当たりの患者さんの数は
400万円/月÷20日÷9,000円/人≒22.2人
毎日22人でしたらギリギリ赤字ですから、23人以上の患者さんを診察することを目指します。
クリニックが赤字になってしまったら、先生のお給料が出ないか、もしくは運転資金としてストックしておいた現金を取り崩すかのどちらかになります。
固定費が400万円程度かかる循環器内科クリニックを経営され、先生が年収5,000万円程度(手取り収入は3,000万円程度)のしっかりと収入を増やしたい場合には、年間で1億円程度の売上高を目指してください。その場合の1日当たりの患者さんの数は、上記の計算例では50人程度となります。
医師優遇税制を活用して黒字化を目指す方法

個人経営のクリニックで、1年間の保険診療の合計が5,000万円以下、保険外診療を含めて7,000万円以下であれば、特措法第26条による医師優遇税制を活用でき、大きな節税対策ができます。
この制度を活用することで、1億円を売り上げたときと同程度の手取り収入(最大3,000万円程度)を目指すことができます。(税務研究会ホームページ「租税特別措置法 第26条 社会保険診療報酬の所得計算の特例」をご参照ください)
この医師優遇税制を解説したいと思います。
医師優遇税制による概算経費
医師優遇税制を活用できると、「売上高の約70%を経費とみなす」という具合に、概算経費と言われる経費計算で税務申告ができます。
一般的な税務申告をする場合には、領収書を一枚ずつ会計ソフトに入力して会計帳簿を作って、どれだけの経費がかかったのか1年に1回税務署に申告します。この作業はとても面倒ですが、医師優遇税制を活用できたら、約70%の経費がかかったと申告できるので、領収書を1枚ずつ入力して帳簿を作る作業は必要なくなります。
例えば、クリニックの売上高が診療報酬5,000万円だったとしたら、「経費は3,500万円かかりました」と概算経費で申告ができます。
概算経費が使えたら経理処理をして会計帳簿を作る必要なくなるので、税理士さんに依頼して確定申告をしてもらう必要がなく、先生ご自身で申告ができるようになり、税理士さんとの顧問契約も必要なくなり、クリニックがさらに黒字化しやすくなります。
概算経費と実際の経費の差額は手取り収入となる
診療報酬による売上高が5,000万円の循環器内科クリニックでは、税務申告ではかかった経費が「3,500万円でした」と申告できるので、年収は1,500万円です。しかし、実際にかかった経費は1,500万円程度だった場合、その差額は2,000万円となります。
概算経費と実際にかかった経費の差額は税金のかからない無税の手取り収入となり、先生の手取り年収に加算できます。すると先生の手取り収入は、次の計算で求められます。
先生の手取り収入=年収1,500万円-税金など500万円+概算と実額経費の差額2,000万円=3,000万円
これは、売上高1億円のクリニックが、一般的な税務申告をしたときの先生の手取り収入と、売上高5,000万円のクリニックが、医師優遇税制を活用して税務申告をしたときの手取り収入が同額になると言う事です。
医師優遇税制を活用した開業のメリット

医師優遇税制を活用した開業のメリットは、まず売上高1億円と5,000万円を比較すると、患者さんを診察する数が半分でも同じ手取り収入が得られるため、少ない患者数でもクリニックを早期に黒字化する事ができます。
また診察数が少なくても黒字化できるということは、患者さんお一人ずつに時間を取って丁寧に診療することができるため、「あそこのクリニックは丁寧に診察してくれる」と評判にもなり、口コミで患者さんが増える様にもなります。
以上、循環器内科クリニックを開業して、なるべく早く黒字化できる方法を解説いたしました。医師優遇税制を活用し、ミニマムなクリニックで病診連携を行って黒字化を目指すことが、これから開業をお考えの先生にはお勧めしたいと思います。
東京都内、もしくは埼玉県や千葉県などの東京周辺地区で循環器内科クリニックを開業したいとお考えの先生は、当社にて開催している無料のクリニック開業セミナー&個別相談会にご参加ください。循環器内科クリニックの病診連携の仕方や医師優遇税制の活用法について、丁寧にご説明し、先生の手取り収入のシミュレーションも無料で行っています。
当社は、開業をして失敗するクリニックを減らしたいという思いで、開業支援のコンサルティング業務を行っています。循環器内科クリニックは安易な開業をすると失敗することが多いため、入念な計画が必要な診療科目です。当社にコンサルティングを依頼する・しないに関わらず、ぜひ一度、当社の無料開業相談と事業計画のシミュレーションをお試しください。
先生からのご連絡をお待ちしております。



