クリニック開業で自己資金をいくら準備したらいいのか?

クリニックの開業を考えた勤務医の先生からよくある質問に、「自己資金はいくらくらい用意したら良いのでしょうか?」というものがあります。
当社では「自己資金が貯まってから開業しないと良いクリニックを作る事が難しくなるので、開業に必要な自己資金は必ず準備しておいてください」とアドバイスしています。
さて、勤務医から独立して開業医になるときに、いくらくらい自己資金を準備したら良いのか、最初にお答えしておくと、最低でも500万円、できれば1,000万円くらいご用意ください。
開業コンサルタントによっては、「自己資金が無くても開業できますよ」とアドバイスする人もいますが、自己資金があると開業がスムーズに運び、開業後も現金が不足したときにその対応がしやすくなります。現実的には500万円~1,000万円くらいの自己資金を用意しておくことをおすすめします。
具体的な金額は、クリニック開業コンサルタントなどの開業支援を依頼する人に試算してもらってください。
自己資金は何に使うのか?
自己資金の使い道ですが、次の3種類になります。
- テナントを借りるときの契約金として
- 金融機関に融資を依頼するときの信用のため
- 開業後に急遽現金が必要となったとき
それ以外のことには、銀行などの金融機関からの借入金ですべてまかなうのが事業の原則です。
テナントを借りるときの契約金として

クリニックの開業準備の最初の山場が、テナント契約です。クリニックを開業した後の成否は、どの場所にどれくらいの規模のテナントを借りるのかによって決まります。
テナントの立地条件が良ければ、それだけ多くの患者さんが来院してくださるようになり、安定経営ができます。また、テナントの規模がコンパクトなものであれば、テナント料の割に利益を得やすくなり、効率よい経営ができるようにもなります。
テナントの契約は、空きテナントを探してオーナーさんと交渉し、契約金を支払う事で完了します。
立地条件の良いテナントの場合は、そのテナントを求めている人も多くなるので、早く契約金を支払える人が先に契約をすることができます。契約に必要な自己資金があればすぐその場で契約の締結を決めることもできます。
もし自己資金がなければ、契約金の支払いを銀行の融資が下りるまでオーナーさんに待っていただくことになります。現金を早く欲しいオーナーさんからは、「それだとダメだ」と言われたり、他の希望者で、現金をすぐに支払ってくれる人がいれば、そちらの人に貸してしまいます。
こうしたことは、立地条件の良い場所ではよくある事です。立地条件の良い場所のテナントを借りることが、開業後の安定経営につながりますので、自己資金の準備が開業後の安定経営に直結していると言えるでしょう。
金融機関に融資を依頼するときの信用のため

テナント契約の準備と同時に、そのテナントの条件で事業計画を立てます。それを金融機関に提出して融資を依頼します。このときに、自己資金を貯めている先生は、「計画性がある」ということで金融機関から信用を得ることができます。
銀行からの融資は事業計画がしっかりしていれば審査も通りやすいのですが、「自己資金がゼロです」と言ったら、お金を管理する能力に欠けていると言う評価をされて、融資を断られる場合もあります。銀行からは、「どのようにして自己資金を貯めましたか?」と訊ねられることもありますが、「将来の開業を考えて、お給料からコツコツと貯めました」と説明する事で銀行からの信用を得られる様になります。
先生によっては、「税金の支払いを少なくしたいから」と言って、節税用の投資マンションをたくさん持って、借金をいっぱいされている方もいます。そういった方は、自己資金も貯めていないばかりか、大きな借金があるので、融資が下りないことが多いです。
開業後に急遽現金が必要となったとき

これまでは、開業準備での自己資金の使い道を説明しましたが、開業後にも自己資金が活きることもあります。それは、先生の病気や怪我などでクリニックの売上が減って資金繰りが悪くなったり、医療機器の新規導入で資金が必要となったりしたときです。
新たな設備投資のために資金が必要となったら、銀行に追加で融資をお願い出来ます。
ところが、経営不振で資金繰りのための融資をお願いしても、銀行からすぐに融資を受けられるわけではありません。審査に時間がかかっている間に、支払いができなくなってしまって倒産する可能性もあります。そういった緊急性の高いときに、自己資金として現金を持っていたら、それを回すことで、倒産を免れることができます。また、売上回復のための方策を講じることもできます。
医療機器も古くなったり、新たな機器を導入したいと言う場合があります。そのときに自己資金として現金を残しておけば、銀行からの融資を受ける必要がなくなります。
なぜ500万円~1,000万円程なのか?

自己資金で貯めておくべき金額は、500万円~1,000万円程です。できれば、1,000万円以上を貯めておいてください。なぜ500万円~1,000万円程なのかといいますと、テナント契約をするときにそれくらいの金額が必要となるからです。
テナント契約で必要となる金額は、テナントの相場や規模によって異なります。ミニマム開業として、小規模な開業を目指す場合には、500万円ほどで契約できると思います。しかしながら、一般的な規模のクリニックであれば、1,000万円近く必要な場合もあります。整形外科クリニックのように、広いテナント面積と高額な医療機器や多くのスタッフを要するクリニックの開業では、2,000万円近い自己資金を必要とするケースもあります。
どの様な場所で開業するのか、どれくらいの規模のクリニックを開業したいのかは、先生の人生計画によって異なります。そのために、準備すべき自己資金の額は、先生の人生計画によって変わってきます。自己資金は短期間で貯まるものではありませんから、クリニックの開業を考えたら、すぐにクリニック開業コンサルタントに相談することをおすすめします。
ミニマム開業については、「ミニマム開業をするときの開業準備スケジュールは?準備内容と要点」をご参照ください。
テナント契約のときに使った自己資金をどうするのか?

ここで、「テナント契約で自己資金を使ってしまったら、自己資金が無くなってしまうので、開業後の資金繰りのときのために置いておくことが出来ない」と思われた先生も多いことでしょう。確かにその通りです。
でもご安心ください。事業計画では、テナント契約で必要な資金も、金融機関からの融資でまかなうことが基本です。しかし、金融機関からの融資はテナント契約後です。そこで、金融機関から融資を受けられたら、その資金の中から、先生が自己資金の中から支払ったものを返してもらうようにします。
すると、また先生の手元に現金が戻ります。それを開業後のいざというときのために置いておくと言う事です。
この現金は、「そのまま口座に置いていたらもったいない」と思っても、株式や不動産などを購入しないようにしてください。いざという時に売ったら目減りしていたり、すぐに現金化できないこともあるからです。
例えば、500万円分の株式を購入したとしましょう。すると、貸借対照表の流動資産には、現預金500万円から有価証券500万円と記載が移ります。この500万円は、有価証券を購入したときの金額がそのまま記載され続けられるので、価値が400万円に減っていたとしても、帳簿上では500万円あるように見えます。ところが、現金化するときは500万円の価値だと思っていたものが、400万円になっているので、100万円の損失が出たことになり、想定よりも現金が得られないこともあります。
以上、クリニック開業で準備すべき自己資金について解説しました。自己資金がなくても開業はできますが、開業後の安定経営を考えると、500万円~1,000万円程の自己資金を貯めておいてください。この金額は、開業する場所の相場や規模によっても異なります。
当社では、東京やその周辺都市での開業を考えた先生に対して、無料で収支計画シミュレーションを行っています。先生の診療科目や今後の人生計画から、どのような開業方法が適しているのかをアドバイスし、それに基づいてリスクの少ない事業計画の収支計画シミュレーションをします。そこから、自己資金をどれくらい準備したらいいのかなど、開業準備の方法などをアドバイスします。
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