【開業予定の歯科医師必見】居抜き物件を探す時のポイントとは?

歯科医院を開業する時に、開業資金を抑える方法の一つが「居抜き物件」を利用することです。

しかし、居抜き物件には、開業費用や集客面でのメリットがある反面、前の医院の問題点を引き継ぐことによるリスクもあります。
「契約後の思わぬ追加出費」や「開業後のトラブル」を起こさないためには、居抜き物件を探す段階でその物件のリスクを慎重に見極めることが大切です。

この記事では、歯科医院の居抜き物件を探す時のポイントについて解説します。

1.居抜き物件とは?

「居抜き物件」とは、以前のテナントが使っていた内装・設備をそのまま残した物件のことです。居抜き物件に対して、内装がコンクリートを打ちっぱなしのままで、部屋に何もない物件を「スケルトン物件」と呼びます。

通常、店舗物件の賃貸借契約では、テナントを退去する時にスケルトン物件の状態にして、明け渡すことが一般的です。
しかし、前のテナントと同業種の場合は、内装・設備を残したまま居抜き物件として明け渡す方が、双方に掛かる費用を抑えられます。

居抜き物件を利用することで、次にテナントへ入る人は、内装工事や設備費用が掛かりません。
一方、物件を明け渡す人は、内装解体工事を行う費用・手間を省け、次にテナントへ入る人から、造作の買取費用を受け取る事も可能になります。
歯科医院を新規開業する場合でも、居抜き物件を選ぶことで、内装工事や設備費用を節約することが可能です。

2.居抜き物件で歯科医院を開業するメリット・デメリット

居抜き物件では、前の歯科医院から内装・設備を引き継ぐことで、さまざまなメリットやデメリットが生じます。

前の医院が持っていた「有用なリソース」を引き継ぐことで、開業に掛かる費用・時間を少なくできることがメリットです。
一方、前の医院が持っていた古い機材や医院に対するマイナスイメージなど「不必要なもの」も引き継いでしまうことがあるため、注意しなければなりません。

ここでは、居抜き物件を利用して歯科医院を開業するメリット・デメリットを紹介します。

2-1.【メリット】前の医院が持っていた「有用なリソース」を活用できる

歯科医院を開業する時に、居抜き物件を利用することで、前の医院が持っていた「内装・設備」や「地域の歯科医院としての知名度」といったリソースを活用できます。
居抜き物件を活用する具体的なメリットは、以下の3つです。

①開業コストを低く抑えられる
居抜き物件を利用する最大のメリットは、歯科医院を開業する時の初期費用を削減できることです。
前の医院で使われた内装に大きな問題がないのであれば、多少の修繕を行う程度で、高額な内装工事費を掛けずに済みます。
レントゲンや歯科診療ユニットなどの機材がそのまま使える場合は、新規で購入する必要もなくなり、大幅に開業コストを抑えることが可能です。

②早期開業できる
スケルトン物件に比べて居抜き物件では、短期間で歯科医院を開業できます。
なぜなら、居抜き物件では、内装工事や設備設置に時間が掛からないためです。
また、開業時に必要な保健所の審査・手続きも、前の医院で許可されたという実績があるため、審査・手続きに掛かる手順が比較的簡単になる傾向にあります。

③早期に医院経営を軌道に乗せられる
歯科医院を居抜き物件で開業することには、集客面でもメリットがあります。
新規で歯科医院を開業して経営を軌道に乗せるまでに最も大変なことが、患者さんの獲得です。
居抜き物件を活用することで、地域の歯科医院としての「知名度」と「通っていた患者さん」を前の歯科医院から引き継げる可能性があります。

2-2.【デメリット】前の医院が持っていた「不必要なもの」を引き継ぐ

さまざまなメリットがある居抜き物件ですが、デメリットがあることも否定できません。前の医院が持っていた「自分にとって不必要なもの」を引き継ぐことがデメリットの原因です。具体的なデメリットの内容として、以下の3つがあります。

①自分の理想を反映できない
居抜き物件では、前の歯科医院が使っていた内装や設備をそのまま使用するため、自由度が低く自分好みにしづらいことがデメリットです。
例えば、診療の動線がスムーズに動きづらかったり、設備・機材が好みのメーカーや種類ではなかったりすることで、慣れるまでストレスを感じることがあります。

②工事や設備で追加費用が掛かることがある
居抜き物件の内装や設備が老朽化して使えない場合は、修理・買い替えのために、追加費用が必要となります。
内装の大幅な変更には、現在の内装を解体する工事が必要です。
そのためには、内装工事だけではなく、解体工事の費用も掛かります。
レントゲンや歯科診療ユニットなどの機器が使えない場合は、処分費用も含めて大きな出費となることに注意しなければなりません。

③以前の医院の評判に影響を受ける
居抜き物件を利用した歯科医院の開業では、前の医院が持っていた知名度を引き継ぎますが、その評判が悪かった場合、新規開業でも前の悪いイメージを引き継いでしまう恐れがあります。
居抜き物件で同業種が入っていると、医院名が異なっているとしても同じ医院であると誤解される可能性が高いです。
院長が変わったことに気付かず以前からの患者さんが来院した場合は、前の医院と方針が異なることに、患者さんが戸惑ってしまうこともあります。

3.居抜き物件を探す時に意識すべき3つのポイント

歯科医院の居抜き物件は、前の医院から引き継ぐものがあるため、当たり・はずれが大きいです。
悪い物件を選んでしまうと、契約後に追加費用が発生したり、開業後に患者さんを集められなかったりするかもしれません。
そのため、開業を成功させるためには、物件の良し悪しを見分ける方法を知ることが大切です。

ここでは、はずれの居抜き物件を選ばないように、注意すべきポイントを3つ紹介します。

3-1.院内の隅々まで自分の目でチェックする

居抜き物件を選ぶ時には、契約後の内装・設備の修復や買い替えが必要とならないよう、院内の隅々までよく確認することが重要です。

「もし自分が患者だったら来院したくなるか」を考えて、問題がないか院内をくまなく見て回りましょう。
また、歯科医師としての目線で「診療に不都合がないか」を考えながら、ご自身の診療のイメージをすることも必要です。

居抜き物件を内見する時には、レントゲンや歯科診療ユニットなど機器のチェックも欠かせません。
一見問題なく使えそうな機器でも、今後も長く使えるとは限りません。
売主に許可を得たうえで、機器は実際に問題なく使用できるのか、確認させてもらうことも必要です。

また、機器を確認する時には、「リース契約が組まれているもの」かどうかも確認しましょう。
リース契約とは、機材の購入費用をリース会社が立て替え、医院がリース料金を支払うことで使用できるというものです。
機器がリース品の場合は、リース契約を継承出来るのかどうかもきちんと確認しましょう。

3-2.医院の評判や閉院理由を調べる

居抜き物件を利用して歯科医院を開業した場合は、前の医院の影響を確実に受けることになります。
そのため、前の医院が閉院する理由や近所での評判を事前に確認しましょう。
前の医院に悪い評判があり、それが理由で閉院に追い込まれたのであれば、よほどの自信がない限り、その物件に手を出すべきではありません。

前の医院を経営していた院長から閉院の理由を聞くだけではなく、実際に物件の近所を歩いて、地域の人に前の医院の評判を聞いてみましょう。
また、インターネットの口コミなども確認することで、より正確な医院の評判が分かります。

3-3.医院専門コンサルタントを利用する

居抜き物件の良し悪しを一人で判断することは難しいため、歯科医院の開業を得意とする経営コンサルタントのサポートを受けることがおすすめです。
もし、一見問題なく使えそうな内装や設備だったとしても、契約後に思わぬトラブルが発生することもゼロではありません。
自分一人で判断するよりも、医療と経営のプロから適切なアドバイスをもらうことで、はずれの居抜き物件に手を出してしまうリスクを回避できます。

歯科医院の経営を成功させるためには、歯科医師としての治療技術やこれまでの実績も大切です。
しかし、技術力だけでは患者を集めることは難しく、医院の立地や内装・設備などのハード面も経営を成功させる重要なポイントとなります。

医療と経営のプロから力を借りて、多角的な視点でマーケット調査や物件調査を行い、患者を獲得できる物件を探しましょう。

まとめ

居抜き物件は表に出てくる物件数が少ないため、見つけるとつい焦って契約を進めてしまう事が多い場合があります。
しかし、初期費用を抑えられるという大きなメリットがある反面、様々なリスクもあります。物件選びの時には、その物件の問題点を正確に把握しましょう。

開業費用を抑えつつ、効率的な集患を行うために居抜き物件を活用したいのであれば、医療と経営のプロである医院経営専門のコンサルタントに相談することがおすすめです。
医師に不足しがちな経営者の視点について、サポートを受けながら最適な居抜き物件を探し出し、歯科医院の開業準備をスムーズに進めていきましょう。

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