【診療科別】クリニック開業資金はいくら準備すべき?

クリニックを新規開業するときは、開業資金が必要です。開業医を目指す先生は、自分の診療科では、開業資金がどれくらい必要なのかを把握することは、とても大切です。
この開業資金は、基本的に銀行などの金融機関からの借入金で賄います。
開業資金の金額は、診療科や開業場所、規模、テナントの広さ、導入したい医療機器の種類などで異なります。具体的な金額は、テナントを契約した後に正式な事業計画を立てるときに決まります。その金額が、標準的な金額と比べて高額になると、それだけ返済が苦しくなり、クリニックの安定経営が難しくなり、リスクの高い開業になります。
このコラムでは、開業資金とはどういった費用のことか、診療科別にクリニックの開業資金はいくら準備するのか、開業資金が高額になるパターンを解説します。
開業資金の内訳
開業資金には、主に設備投資の費用と運転資金を準備します。
開業資金=設備投資の費用+運転資金
設備投資の費用と運転資金の内訳を見ていきましょう。
設備投資の費用

設備投資の費用とは、クリニックがオープンするまでに必要となる、1回だけ支払う費用のことです。主に、次のような費用がかかります。
- テナント契約の費用(敷金や保証金など)
- 内装工事費用
- 医療機器や医薬品などの費用
- 什器やパソコンなどの費用
- スタッフを雇用するための費用
- 各種の申請などの費用
- ホームページや看板・チラシなどの広告宣伝のための費用
- 開業コンサルティングの費用
- 内覧会の費用
こうした金額は、事業計画に基づいて支払われる金額になります。「少し節約する」ということも可能ですが、必要な機能に支障が出ない様にメリハリのついた支払いを基本とします。
運転資金
クリニックの運営費用は、患者さんから得られる利益から賄います。ところが、開業をした直後は患者さんの数が少ないことや、診療報酬の大部分の支払いが2ヶ月ほど後になることから、その間の運営費用は赤字になります。その赤字を補填するための費用のことを、運転資金といいます。運転資金としては、主に次のような費用があります。
- テナント家賃
- スタッフの人件費
- 水道光熱費
- 医薬品・診療材料などの変動費
- ホームページの運用を含めた広告宣伝費
これらの費用が払えなくなったらクリニックが倒産するので、事業計画に基づいて運転資金を十分に準備しておきます。開業前に立てた事業計画は、あくまでも計画なので、実際にクリニックをオープンさせると、どのような事態が起きるかわかりません。いざというときのために、余裕を持って準備しておくことが大切です。
【診療科別】クリニックの開業資金

クリニックの開業資金の金額は、事業計画を立てるときにシミュレーションして決めます。開業資金の具体的な金額は、開業場所や規模、どのような医療機器を導入するのかなどによって異なります。その金額が高額になると、返済が苦しくなり、先生がクリニック経営に集中できなくなることもあります。
ここでご紹介する診療科別の開業資金の金額は、クリニックを安定経営する上での標準値となる目安の金額です。開業場所や取りそろえる医療機器によって、必要となる開業資金が高額になることもありますが、標準値よりもかなり高額になる場合は、クリニックの安定経営が難しくなる場合もあります。
小児科
設備投資5,000万円+運転資金2,000万円(合計:7,000万円)
小児科クリニックは、医療機器をほとんど導入しなくても開業が可能な診療科目です。クリニックの規模は隔離診察室を設けたり、血液検査の機器を揃えるため、設備投資の費用は中くらいです。スタッフの人数を抑えることも難しいので、運転資金も中くらいとなります。
産婦人科
設備投資7,000万円+運転資金2,000万円(合計:9,000万円)
産婦人科クリニックは、診療室が多くなることや、4Dエコーといった高額な医療機器を必要とするので、設備投資の費用が若干高くなります。運転資金は小児科と同程度です。
精神科
設備投資4,000万円+運転資金1,500万円(合計:5,500万円)
精神科クリニックは、高額な医療機器を必要としませんし、コンパクトなテナントでも開業が可能です。そのため、設備投資の費用が他の診療科と比べて低くなります。また、完全予約制にすることで、受付スタッフさんは一人でも対応できるので、運転資金が少なめても安全な経営が可能です。
皮膚科
設備投資4,000万円+運転資金1,500万円(合計:5,500万円)
皮膚科クリニックも精神科と同様に、高額な医療機器を必要としないことなどから、設備投資の費用や運転資金は少なめでも開業できます。しかし、慢性疾患の様に患者さんが定期的に通ってくれない科目なので、患者さんの来院数が安定するまでに時間がかかることもあります。そのため、念のため運転資金を2,000万円用意しておく場合もあります。
なお、美容皮膚科を標榜した場合の開業資金はかなり高額になります。
耳鼻咽喉科
設備投資6,000万円+運転資金1,500万円(合計:7,500万円)
耳鼻咽喉科クリニックは、専用の医療機器や検査装置を導入するため、設備投資の費用が高額になります。運転資金は、コンパクトなクリニックを開業することで、低く抑えることもできます。
一般内科
設備投資5,000万円+運転資金2,000万円(合計:7,000万円)
一般内科は、レントゲン装置の装備くらいであれば開業資金は中くらいです。
循環器内科
設備投資6,000万円+運転資金2,000万円(合計:8,000万円)
一般内科は、レントゲン装置などの他に、心エコーや血圧脈波測定など循環器診断の専用の医療機器が必要となることや、スタッフさんの人数も多くなることから、開業資金は若干高目になります。
消化器内科
設備投資6,000万円+運転資金2,000万円(合計:8,000万円)
消化器内科クリニックは、レントゲン装置の他に、内視鏡検査などの専用の医療機器を必要とするので、循環器内科と同様に、開業資金は若干高目になります。
糖尿病内科
設備投資7,000万円+運転資金2,000万円(合計:9,000万円)
糖尿病内科クリニックは、血液検査装置など専用の医療機器が高額になるので、循環器内科や消化器内科と比べて設備投資の費用が1,000万円ほど高くなります。
眼科
設備投資6,000万円+運転資金1,500万円(合計:7,500万円)
眼科クリニックは、専用の検査装置を多数導入するために設備投資の費用は高額になりますが、コンパクトなテナントでも開業が可能であることから、運転資金は低めにできます。
整形外科
設備投資8,000万円+運転資金2,000万円(合計:1億円)
ここでご紹介する診療科の中では、整形外科がもっとも高額になります。リハビリで広めのテナントが必要であること、放射線技師や理学療法士といった専門のスタッフも必要であることから、運転資金も高くなります。
設備投資の費用を抑えるために、理学療法を中心としたクリニックにすることも大切です。
開業資金が基準値よりも高額になるパターン

おおよその開業資金の金額をご理解いただいたところで、この金額よりも高額な事業計画になってしまうパターンを解説したいと思います。
ここまでご紹介した金額は、あくまでも目安となる金額であって、これより高額になることもあります。開業資金が高額になると、それだけたくさんの患者さんを集患し、診察して、たくさんの利益をあげる必要があります。
たくさんの利益をあげないと黒字にならないクリニックは、経営難に陥りやすいクリニックです。先生がどのようなクリニックを開業させたいのかにもよりますが、安定経営を求めるのであれば、できるだけ開業資金を低く抑えられるようなクリニックの計画を立てることをおすすめします。
開業資金が高額になる主なパターンをご紹介します。
先生が大きな夢を持ち、広いテナントを借りたとき
先生に大きな夢があり、福利厚生を考えて「スタッフさんの更衣室や休憩室もつくりたい」ということで、広いテナントを借りた先生がいました。先生のスタッフに対する思いやりは良いことですが、利益を生み出さない場所に高額な費用を掛けてしまったわけです。すると内装の工事費やテナント家賃が高くなり、開業資金も多く必要になります。
更衣室や休憩室のような利益を生み出さない場所を、高額な家賃のテナント内に設けることを避けて、近くのワンルームマンションの一室を借りて設置してもよいわけです。そちらの方が費用を圧倒的に抑えることができます。
また、「クリニックで手術ができるようにしたい」という夢を持った先生もいました。その場合、手術室を設けることと、いつ手術が行われても良いように、専門のスタッフを必要とすることから、高額な開業資金を必要とします。クリニックで頻繁に手術をすることはありませんから、赤字経営が続き、すぐに経営が行き詰まることは言うまでもありません。
クリニックの広さは、できるだけコンパクトに抑えること。クリニックの運営は、できるだけ少ない人数で回るようにすることがリスクを避けた経営には大切な事です。
開業コンサルタントに高額な医療機器を勧められたとき

医療機器メーカーの営業担当者が開業コンサルタントを名乗って、先生の開業支援をすることもあります。医療機器メーカーの営業担当者は、医療機器が売れたら自分の営業成績になるため、「先生、保険点数が高いので、この高額な医療機器も導入した方が良いですよ。」と勧めてくることも多いです。
医療機器をたくさん導入すると、それだけ設備投資の費用も高額になりますが、テナントの広さも必要になります。すると、設備投資の費用だけでなく運転資金もたくさん準備することが必要になります。
ところが、医療機器メーカーの営業担当者は、医療機器を導入さえしてくれたら自分の成績になるので、「運転資金はそんなになくても大丈夫ですから、医療機器を購入してください。」と勧めてくることもあります。
この記事を読まれた先生は、そのような甘い言葉に惑わされないようにしてください。
以上、診療科目別にクリニックの開業資金の標準となる具体的な金額をご紹介しました。
もし、クリニック開業コンサルタントが作成した事業計画書の開業資金の金額が、ここでご紹介した金額よりもかなり高額になる場合は、当社までご相談ください。そして、できればテナント物件の契約前にご相談ください。テナント物件を契約してしまうと、後から開業資金の金額が高額だと気が付いても、後戻りができない事になるからです。
クリニック開業コンサルタントが作成した事業計画やアドバイスに不信感を持ったときは、ご相談だけでもかまいませんので、後悔する前にご連絡ください。
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