クリニックの職員に社会保険の加入は必要か?
開業の場所が決まって開業準備をする中で、職員さんを募集する時期になると、社会保険に加入するかどうかが問題になります。
社会保険とは?
社会保険とは、勤務先で健康保険と厚生年金に加入出来るかと言う事ですが、医療法人の場合は必ず加入しなくてはなりません。
個人医院でも職員が5人以上となると加入する義務が発生します。
一般的には、職員さんを公募しますが、正社員として応募する人の場合には、社会保険に加入出来るかどうかと言う事は、割と大きなポイントになります。
国民年金よりも厚生年金に加入しておいた方が、将来受け取る年金額に大きな違いが有りますし、健康保険も合わせて支払金額の半分を勤務先が負担してくれるので、働く人にとってもお得で有る事は言うまでもありません。
先生方の中には、以前の職場から気心の知れたスタッフさんに来てもらった方が気が楽だと言う事で、知り合いに声を掛ける場合も多いようです。
その様な場合には、待遇も前職に準じて考えて上げる必要が出てくるので、職員さんが4人以下であっても、任意適用申請と言う手続きを経て社会保険に加入する事ができます。
手続きに要する期間は大体1カ月くらいですが、必要な書類を整えるのが煩雑なので専門の社会保険労務士に委託することが良いでしょう。
採用した職員が定着するのか?
ここで注意したいことは、採用した職員が定着するかどうかと言う事です。
採用時の面接の時には良い印象だったので、採用を決めて実際に働き始めたら、とんでもないトラブルメーカーだったという事は良く聞く話です。
開院して1年足らずの間に、職員さんが全員入れ替わってしまったというクリニックも少なくありません。
もちろん職員本人にも、雇用する院長にも何かしらの事情が有って、のことだとは思いますが、経営者が変わるわけには行きませんので、職員さんに交代してもらう事になります。
新規開業してしばらくの間は、当然売上げも少なく、採算の取れない時期ですので、余計な出費はなるべく避けなくてはなりません。
経営の安定しない時期に社会保険の手続きをしても、職場に合わなくて退職する人が出れば、無駄に経費を掛ける結果になりかねません。
開業当初は、経営を軌道に乗せるのに神経を使う大変な時期ですので、職員さんの雇用に関しても、なるべくシンプルな手続きで済むようにしておきたいものです。
例えば、開院当初は職員さん個人で国民健康保険と国民年金に加入してもらい、支払う費用の半分をお給料に上乗せして支払って上げる、等の方法で社会保険と同じように、ご本人の手取りを減らさないで済む方法もあります。
ただ、クリニックの経営が安定して来たら、良い職員さんに長く働いてもらう為に、社会保険の加入は大切な福利厚生となります。
新規開業して1年くらいを目安にして、経営が安定し始めてきたら、苦労を共にした職員さんの待遇を改善する目的で、社会保険の加入を検討しては如何でしょうか。