クリニックの開業物件を探し確保する方法とは?

クリニックの改行物件を探し確保する方法とは?

クリニックの開業を目指すとき、最初に考えることは開業場所のことだと思います。

開業を希望する先生方の多くは、開業しようという気持ちが心の中で大きくなってくると、何の準備もないままにとりあえず開業に適した場所を探そうとします。

ところが、そのような方法ではいくら探しても良い場所を見つけることはできません。それは「ご自身の開業に適した場所」の判断基準を持たないままに場所探しだけを先行させてしまっているからです。

この記事では、クリニックの開業物件を探し、確保するための方法や注意点などをご紹介いたします。

クリニックの開業物件を探す時期とは?

クリニックを開業したいという気持ちが高まってくると、すぐに開業場所を探そうとされる医師は多いです。しかし、場所探しを開始する時期を間違ってはいけません。

3年先に開業する物件を探している!?

3年先に改行する物件を今から探している!?

当社にご相談に来られる先生方の中で、「3年先に開業を希望しているので今から開業物件を探している」という方がいらっしゃいました。そして、「なかなか良い場所が見つからないので、どうしたら良いのかわからなくて困っています。」とのご相談でした。

3年も先に開業するのに今から開業物件を探しているなんて、そもそも、開業の場所探しをする時期が間違っています。たとえどんなに良い開業物件が見つかったとしても、すぐに契約して家賃を支払ってくれる相手でなくては、大家さんは契約をしてくれません。また、開業までの3年間の家賃をムダに払い続けることになれば、これも現実的ではありません。

物件探しに3~6カ月かかる

開業物件を探す候補のエリアが、ご自宅の近辺や勤務先の病院の近くなどと、ある程度狭い範囲に特定されている場合には、3ヶ月程度の期間を想定して探すことが良いと思います。

そうした期間の中で、希望エリア内のテナント情報をくまなく収集していくことで、開業に適した物件を探します。

そこで気に入った物件が見つからなかった場合には、一旦テナント探しを中断して改めて3ヶ月程度の期間を置いてからまた探し始めることが必要です。

一般的なテナント物件の解約予告は6ヶ月前に大家さんに対して申し入れをします。

現在入居中のテナントであっても、しばらく待てば退去して空きテナントとして、入居者を募集する物件もありますので、外から見ただけでは空きテナントとなるかどうかということはわかりません。また、そういった物件はインターネットで探しても見つからないことがほとんどです。

こうした情報は多くの不動産会社にコンタクトして、情報収集していく中で獲得できることです。

反対に、ある程度広範囲なエリアでテナントを探す場合には、6ヶ月程度の期間をかけて探し始めることが必要です。

開業物件を広範囲に探す場合には、継続して情報収集をしながら現地を内見して、開業のコンセプトに合った物件であるかどうかなど、比較検討しながら契約する物件を絞り込んでいくことが大切です。

開業物件を探し出すのは1年前から

開業物件が決まるのに3~6カ月かかり、また開業物件が決まってから開業準備には6カ月ほどかかります。それから逆算すると、開業物件を探し始めるタイミングは1年前ということです。

クリニックを開業したい日を決めている場合は、そこから1年前ぐらいから不動産会社に当たるなどして、探し始めると良いでしょう。

自分にあった開業場所を探す方法とは?

開業に良い物件というのは、多くの患者さんが来院する可能性があることはもちろんですが、そこで開業することで先生ご自身が幸せになれるかどうかということが一番大きなポイントです。

クリニックの患者さんの数は開業場所で変わる

開業というのは、ご自分が経営者となって事業を起こすということですから、経済的な面での黒字経営を実現するということはまず絶対に必要なことです。

そもそも、開業する意思を持つということは医師としての修練の期間を経て、一人前の技量を持っているということが前提となりますので、医療技術にある程度の個人差があるとしても、概ね水準以上のスキルを持っていると思います。

ところが、開業しても経営がうまくいかないという場合は、立地条件に問題があるということが多くあります。

同じドクターが同じ様な医療をやったとしても、また医師としての技量に自信があり多くの人に認められていたとしても、開業する場所の良し悪しで、経営の結果はまるで違ってしまいます。

とある開業コンサルタントに依頼した先生からのご相談

ある先生からのご相談を受けた時に、それまで医薬品卸の開業支援を受けて場所探しを続けていました。

その会社の開業コンサルタントと称する担当者といっしょにテナントを見て回ったのですが、これといったアドバイスがなく、どこのテナント物件を見ても、『いいですねー』としか言いませんでした。また、開業の事業計画を作ってもらうと、身の丈に合わない高額な医療機などもふんだんに盛り込まれて、開業準備のために必要な資金がかなり大きくなっていることに不安を覚えたそうです。

そこで、すでに開業している先輩医師に相談したところ、その開業医が当社にて開業支援をさせていただいたドクターであったことから、当社をご紹介いただき相談にお見えになりました。

そのまま適当な場所で開業していたら、経営危機に陥っていた可能性が高い案件でした。

多くの開業コンサルに見られる傾向ですが、「高度医療機器を取り揃えることで他との差別化を図り、大きなクリニックを作ってたくさんの患者さんを診て、大きな売り上げを上げましょう。」という昔ながらのワンパターンの開業構想を押し付ける傾向があります。

開業は事業ですから、大きな売り上げを上げることは良いことではあるのですが、では、それが果たして先生ご本人の望んでいる開業の姿であるかというと、かなり疑問があります。

医師それぞれの幸福に合わせた開業場所や開業物件の選び方

開業を希望する医師には、主に成長志向の医師と、ワークライフバランスを考えている医師がいらっしゃいます。

男性の医師で、診療の仕事が大好きで、お子様が将来医学部に進学することを希望しているという場合には、高い所得を得ることを望む開業を目指すことが良いでしょう。奥様のサポートを受けながらとにかく良い場所で、長時間の診療を行い、多くの患者さんを診ることで高い所得を得て、高額納税者と言われる様な開業医になりたいと希望する開業です。そのような先生の場合は、積極的な開業構想が向いているでしょうから、そうした構想が実現できる開業場所選びが必要です。

一方で、女性の医師が増加している現在では、開業の目的として「ワークライフバランスのとれた人生を送りたい」との思いで開業を目指す先生が増えています。過去の事例で、週に3回で午前中だけの診療で開業したいというご希望の先生もいました。

そうした場合には当然売り上げも多くは望めませんが、想定される売り上げでも黒字経営を実現できる様に、経費を抑えた形の開業計画を立てることが必要となります。開業場所も、「子どもの学校の近く」や「学校の帰り道の途中」とお子さんとの生活に合わせた場所を選ばれる先生もいます。

コンパクトな開業がおすすめ

クリニックの経営で失敗しないために抑えるべき経費の最大のポイントは、固定費である家賃と人件費です。

開業物件を選ぶ時に、賃料の坪単価が高い物件は集患の可能性は高くなりますが、その分だけ家賃が高くなります。そこで、坪単価が高くても家賃の総額が大きくならない様に、小さなスペースでコンパクトな開業が出来る物件を探すことが求められます。

高所得を望む開業でも、ワークライフバランスを求める開業でも、集患は大事です。坪単価の高い場所で、コンパクトなサイズのクリニックで始めることが大切です。

気に入った開業物件が見つかった時のチェックポイント

気に入ったテナントとの巡り合いは、ご縁というのも大きな要素を持っています。

いくら探しても気に入ったテナントが見つからなかった場合でも、ある日突然運命の出会いを果たすこともあります。

そうした物件との出会いのあった時にするべきことは、開業までのタイムスケジュールを見比べながら、物件の内見やクリニックの開業に適しているのかのチェックなど、具体的な手続きをタイムリーに進めていくことです。

インターネットで確認

インターネットで確認

物件を探す場合は、昔であれば、不動産の仲介会社に出向いて、テナントの募集図面を見せてもらいながら条件に合う物件を探し出すことから始まったのですが、今時はネットで検索して、Webで建物の立地条件と周辺の街の様子を確認しながら開業に適した物件を絞り込んでいくことが普通になって来ました。

同時に近隣にある競合となりそうなクリニックの様子もWebで探して見ることができますし、クリニックのホームページや口コミなどを見ることによって、競合先のクリニックの力量などもある程度は推測することが可能となってきます。

テナントの内見でのチェックポイント

テナントの内見でのチェックポイント

そうした周辺環境と賃貸条件などを確認していきながら、実際に現地に行ってテナントの室内を見にいく、内見の申し込みをすることが大切です。

内見では、現場に行かなくてはわからないことを確認していきます。例えば、建物の外観に関しては、どこにクリニックの看板を上げることができるのか、集患につながる様な効果的な看板を、目立つ場所に取り付けられるかどうかを確認することが必要です。

また、建物の玄関や入り口の入りやすさが、近隣の競合するクリニックと比べて優っているかどうかという確認も必要です。

次に室内の状況ですが、第一に排水口の位置とエアコンの室外機を置く場所の確認と、電源の容量、火災報知器の有無などを確認しなければなりません。

テナント室内の排水口の位置によって患者さん用のトイレや流し台などの、衛生設備や給排水設備などを配置できるレイアウトの制限を受けることになります。

エアコンの室外機の設置場所

エアコン室外機の設置場所

エアコンの室外機置き場がテナント室内から遠くになるほど、工事の難易度が上がって工事費用が高額になってきます。

大きなビルの場合には、建物の屋上にエアコンの室外機を置く場合が多く、入居したいテナントが下の方の階にあれば、屋上から長い距離をエアコンの冷媒管という設備の配管を引き込まなくてはならなくなります。

また、エアコンの室外機を屋上に設置するために、職人さんが手であげられない様な大きな室外機であれば、深夜に大きなクレーン車を使って屋上に上げなくてはならなくなってしまい、想定外の大きな費用がかかってしまうことがあります。

電源容量の確認

電源容量の確認

電源の容量に関しては、整形外科や呼吸器内科・消化器内科のTV撮影など、高圧撮影の必要なレントゲン装置を必要とする場合、美容皮膚科などでシミ取りや脱毛などのレーザー治療装置を使用する場合、歯科医院でコンプレッサーやバキュームなどの動力を使用する装置を計画する場合などは、多くの電源が必要となるために既存の電源容量を増設しなくてはならなくなってしまいます。

大型の機器に必要な電源の容量は通常のテナント室内にはひかれていない場合が多いので、古い物件などの場合は、余裕の電源が確保されているかどうかの確認を、念のために行なっておいた方が良いでしょう。

もし、追加で電源を増設する様な工事が必要となったら、その工事費はクリニックが負担することがほとんどです。そういった工事費を含めて、事業計画の予算内で収まるかどうかのチェックも大事です。

要注意は火災報知器

要注意は火災報知器

また、物件によっては、火災報知器が建物全体に装備されていない場合もあります。

1階がテナントで、上の階に賃貸住宅などが入っているマンションなどでは、1階のテナントとして入居しているのが事務所などである場合には、火災報知器の設置義務を免除される場合が多いのです。ところが、同じ建物にクリニックが入居する場合には、「建物全部に火災報知器の設置が義務付けられる」という法律があります。そのように、クリニックの入居を想定していないテナント物件もあります。

テナント契約の条項の中では、「入居する業種によって必要となる法的な施設設備の変更は、入居者の負担によって行わなくてはならない」という条文が必ず入っています。

これを知らないままに、クリニックの入居契約をしてしまうと、電源の工事と同様に、入居するクリニックの負担で建物全体に火災報知器を設置しなくてはならなくなってしまい、数百万円の予定外の費用を出費する羽目になってしまいます。

ある大手の医薬品卸会社の開業支援コンサルティングの担当者が、まさにこの通りのミスを犯して大きな問題になった事例を目にしたこともあります。もし、当社に開業支援をご依頼いただいていたら間違いなくチェックする箇所でしたが、コンサルタントの知識不足によって先生が大きな工事費負担をしなければいけない場合もあるのです。

この様な開業に重要なポイントのチェックと確認は、実際に現地の内見をしなくてはわからない大変重要なポイントとなります。

同時に他にも契約の申し込みがあった場合の物件確保の方法とは?

開業物件を探していると、「こんなに良い物件なのに、なぜずっと契約がなかったのか?」と思えるくらい長期間の空き物件に出会うことがあります。

また、「まさに理想的な場所に巡り合った」と思ってすぐさま入居の申込書を大家さんに提出するのですが、不思議なものでその様な場合に限って、同じタイミングで別の申し込みが入ってしまうことがあります。人気のある場所では、よく同時に申し込みをされることがあります。

長期間空き物件だった場合

長期間空き物件だった場合

そのテナントが長い期間空いていた場合には、大家さんとしては「なんとか早めに入居者を見つけて契約に結びつけたい」という気持ちがあります。そうした場合には、入居したいドクターに有利となる入居条件の交渉が可能となります。

極端な場合には、開業するまで家賃を免除してくれるという交渉が成功する事もありますし、希望する位置に大きな看板を取り付けるということもできます。

テナントビルの大家さんにとって、クリニックは長期間にわたり安定して家賃を支払ってくれる真面目な入居者です。大家さんとしては、入居してくれる人を取り逃がしたくないわけですから、良い条件を提示してくれますし、多少の無理も飲んでくれることが多いです。

同時に複数の申し込みが入った場合

ところが、同じテナントに同時に複数の申し込みが入ってしまうと事情は変わってきます。大家さんはテナントの賃料がご自分の収入となりますので、当然ながらすぐに契約してくれて、すぐに賃料の支払いを開始してくれて、より多くの賃料を支払ってくれる入居者との契約を優先することになります。

そうした状況になってしまった場合には、こちらからの一切の条件提示を捨てて大家さんの希望条件通りの契約を結ばないと、せっかく巡り会えた理想の開業場所を手放してしまう結果となってしまいます。

ともかく、入居の申し込みをした時に競争相手が現れた場合には、手付金を即金で払ったり、大家さんの提示する条件をそのまま受け入れるなど、競争相手よりも大家さんにとって有利な条件を提示しないと、その開業物件を獲得することができなくなってしまいます。

定期借家契約には気をつけなくてはなりません

普通借家契約の場合

初めて開業用のテナント契約をする先生方の中には、「更新の時期が来て大家さんに契約を拒否されたら出て行かなくてはならないのでしょうか?」と心配される方がおります。心配はごもっともですが、定期借家契約でない限りご安心ください。

テナント契約の募集広告を見ていると、契約の条件として契約更新の期間だけが記載されている広告が一般的です。こうした広告は、あえて記載をしていませんが、普通賃借という契約で、特段の問題のない限りは、契約の期間を2年とか3年間という様に定めて、その期間が来ると契約の更新が可能で、何年でも入居を続けることができるというものです。

定期借家契約の場合

定期借家契約での注意点

一方で、駅前や繁華街などの人気の高いエリアで開業物件を探している場合、中には定期借家契約という条件が明示されている物件があります。

定期借家契約とは、一定の契約期間を定めた契約で、契約期間の満了とともに入居を続ける権利が消滅してしまい、テナントを退去して出て行かなくてはならないという契約です。

もちろん大家さんの承諾があれば、改めて定期借家契約を結び直すこともできます。こうした契約形態ができた理由は、旧来の普通賃借の場合には入居者の権利が大変強いものですから、万一テナントのルールを守らない様な芳しくない入居者がいたとしても、なかなか追い出すことができなくて、大家さんが大変困ってしまう状況になったからです。

こうした問題を解消することもあって、平成12年に借地借家法が改正されて定期借家契約という契約が誕生しました。

大家さんからすれば、定期借家契約を結ぶことで契約期間理満了とともに入居者を入れ替えることが可能となりますし、そのまま元の入居者が再契約を希望した場合には家賃などの条契約件を好きな様に変更できるというメリットがあります。普通賃借の契約でも賃料の値上げは可能な条項が入っていますが、近隣の家賃相場が上がっていたり、土地の価格が上昇して固定資産税が上昇していたりという様な正当な理由がないと、入居者に対して賃料の値上げを承諾してもらうことはなかなか難しい問題です。

ところが、定期借家契約の場合には、賃料を倍にあげるなどの極端な値上げを提示しても、入居者がそのままテナントの入居を継続していたい場合には、再契約の条件として拒否することができなくなってしまいます。

クリニックの安定経営を目指すために定期借家契約の妥当な契約期間は?

ここで、クリニックの開業を考えた場合に、例えば5年程度の期間の短い定期借家契約で契約を結んでしまうと、契約期間満了後の対処が大変に厳しいものとなってしまいます。

クリニックを開業して5年くらいの時期というと、ようやく経営も軌道に乗って来て院長としての仕事にも慣れて、開業医としての生活も安定して来た時期です。

そんな時に、定期借家の契約期間が満了して再契約を希望した時には、大家さんから極端な賃料の値上げを提示された場合でもその条件を拒否することができなくなってしまいます。

定期借家契約であっても、契約の更新可能という前提が記載されているものが多くあります。ところがこれは、大家さんがその時に契約の更新を承諾してくれればということが前提条件となります。

より良い条件で契約相手が見つかりそうな状況であれば、契約更新の条件としても大きな変更を求めてくるでしょうし、そうした条件を飲めなければ出て行くか、条件を飲むかの二択しか取る道がなくなってしまいます。

では、現実問題としてこの様な場合にはどうしたら良いのかということになります。それは定期借家契約の期間を最低でも10年以上とすることで、安定した経営を続けて行くことです。10年という期間は長い様にも感じますが実際にはクリニックの経営を続けていると、あっと言う間に経過してしまいます。

そうなると「10年後には出て行かなくてはならない」と言う可能性もあるのでなるべく長期間で契約したいところです。では、安定的な経営を続けて行くために、20年以上の定期借家契約を結べるかと言うことになると、集患の見込める人気のある場所であればそうしたことを求めるのは現実的ではありません。

クリニックの立地条件は、事業成功の最大のポイントになります。巡り合ったテナントが定期借家契約を条件とする場合には、10年以上の契約期間を確保して、その間に立地の良さを生かしてクリニックの経営を早急に軌道に乗せて、より多くの資産を作って次の契約条件に動じない様な経営体質のクリニックを作るべきです。また、契約更新のときに条件が折り合わなかった場合には、それまでに培った経営基盤を基にして移転開院すると言う選択肢も検討するべきでしょう。

成功したクリニックを移転しないで、そのまま経営を継続できることは理想的ですが、定期借家契約のマイナス面よりも、事業成功に直結する立地条件を大切にすることが将来の展望を明るくすることになります。

保証会社の審査に通りやすい条件とは?

最近のテナント契約では、保証会社の加入を条件とする場合が大変に多くなっています。最近のテナントの入居契約には、ほぼ必須となっています。

なぜ連帯保証人でなく保証会社なのか?

なぜ連帯保証人でなく保証会社なのか?

テナント経営をする大家さんにとって一番困ることは、入居者が家賃を払わないままテナントに居座ってしまうことです。

そうした賃料の未払いなどのトラブルを防ぐために、テナント契約をする際には必ず連帯保証人を立てます。ところが、現実問題としては連帯保証人になる人は名義貸し程度の感覚で保証人になる人が多いことから、いざ賃料未払いなどのトラブルが発生した場合に、大家さんから家賃の支払いを請求されたとしても素直に支払ってもらえるかどうかわかりません。

そうした未払い賃料の回収は、かなり大きな労力を要することになりますので、個人事業の大家さんの場合、家賃の支払いを渋る入居者との交渉は、相当ストレスのたまるものになるでしょう。

ところが保証会社を使った契約をすれば、そうしたストレスとは無縁になります。しかも、保証会社に支払う保証料は入居者の負担ですし、家賃の回収と大家さんへの家賃の振込も保証会社が代行してくれるので、大家さんはテナント経営に関して何も心配しなくて良くなります。

保証会社が審査するポイント

保証会社は、入居者が家賃を支払わない場合は、入居者に代わって家賃を大家さん支払わなくてはなりませんので、テナントへの入居契約を希望する人が確実に家賃を支払ってくれるかどうかの判断をしなくてはなりません。

そこで、テナント申し込みの際には、入居者の審査を家賃の保証会社が行うことが一般的になって来ました。

審査の基準は、申込者の資産の状況を判断することから始まりますので、ある程度の貯金があることと、無理な借金をしないことが大切です。

ドクターによっては、節税用のワンルームマンションを持っていることもあります。「資産を持ったことになるので、融資が有利になる」と考えて物件を購入される場合もありますが、実のところクリニックを開業するときには、その借金がボトルネックになることがあるのです。

そういったことから、「将来、クリニックを開業したい」とお考えのドクターは、節税用のワンルームマンションなどといった不動産投資などで無理な借金をしていないことが大切です。

テナント契約の際にたまに言われる「公正書契約」とは?

テナント契約の条件として、契約書に「公正書契約が必要」という記載がされている場合があります。これは、テナント契約に際して「公正証書を作成する」という意味で、公正証書を作成すると「契約内容に法的な強制力を持つ」ということです。

契約書に違反した場合の罰則について

契約に違反した場合の罰則について

一般的な理解として、テナント契約に限らず契約書に書かれている内容に違反した場合には、「契約書に記載されている罰則を実行されることはやむを得ないことだ」と、思っている方が大多数だと思います。

例えば、「家賃の支払いを2ヶ月以上延滞した場合には、即時契約を解除される」などという項目がありますが、実はこうした条項は契約当事者のお互い同士の約束事をたんに文書にしたものであって、法的な強制力の裏付けがあるというわけではありません。

契約書に記載されている各種の罰則を、実際に強制的に実行しようとする場合には、お互いの話し合いで了解してもらえれば別ですが、そうでなければ裁判をして判決を得なければ法的な強制力を持たせることができません。

一般的な定期借家契約などの場合には、「契約期間が完了した時点で入居者を立ち退かせることができる」という、相当に強い強制力を持つ契約なのですが、やはり入居者が立ち退かない場合には裁判をして、裁判所から退去命令を出してもらわなくては強制的に追い出すことはできません。

要するに、契約書の中に何が書かれていようとも、契約の当事者が自主的にその内容を実行しなければ、契約に記載された罰則を強制することはできないということです。

そうしたことで契約違反に対するペナルティを課すために、裁判まで行うというのは相当に手間と費用のかかることです。

公正書契約とは?

契約違反があったときに、そうした手間を防ぐために、あらかじめ契約を締結する時点で契約書に書かれた条文に法的な強制力を持たせることができるのが、公正証書を作成して行う公正書契約といわれるものです。

その様なトラブルを防ぐために、公正書契約を条件とすることがたまにあります。

公正書契約を締結する場合には、公証人役場に出向いて公証人の立会いのもとに、原契約の条文に基づいて公正証書を作成することになります。

公証人役場というものが各地域にあり、そこに公証人という立場の人がいます。公証人は法律のプロであり、法の施行に対して公正な立場で判断を行えるという国からのお墨付きをもらった立場の職責ということです。この公証人というのは裁判官を定年退職した人がその職についていることが多いです。

この公証人立会いのもとで契約当事者の双方が、改めて契約を取り交わすことが公正書契約というものです。

これによって、裁判などの手続きを経ることなく法的な強制力を持った契約を結ぶことが可能になります。

この公正書契約にかかる手数料は十数万円ですが、当事者双方で負担する場合もありますし、入居者が全額を負担するという条件の場合もあります。

公正書契約というのは、大家さん側にも契約内容を遵守しなければならないという面もありますが、テナント契約というのは、どちらかというと入居者の義務と契約違反をした場合のペナルティに関して多くの条項を規定していますので、大家さんにとって都合の良い契約形態であると言えるでしょう。

クリニックの開業物件を探し確保する方法について、さまざま述べてきました。クリニックのテナント契約だけでも、いろいろな知識が必要ですし、ノウハウがないとトラブルになったり、余計に費用がかかったりする場合が多々あります。

そのようなトラブルを避けるためにも、開業物件を探す前に、できれば知識やノウハウのある人に相談することをおすすめします。

当社のクリニック開業コンサルティングは、30年以上の実績に基づいて、開業場所や開業物件のアドバイスはもちろんのこと、事業計画や内装、人材募集のアドバイスなど、ドクターの開業を成功に導くあらゆるサポートをいたします。

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