夫婦でクリニックを開業することは可能か?

医師のご夫婦が同じ場所でクリニックを開業したら経費が浮く

医師のご夫婦が同じ場所でクリニックを開業したら経費が浮く

多くの開業相談を受けている中で、ご夫婦ともにお医者さんの場合に、「夫婦で開業したら色々とメリットがあるのではないか?」というご相談を受けることがあります。

夫婦それぞれ異なる専門科目の場合

ご夫婦ともに、将来的にそれぞれのクリニック開業を希望している場合には、「テナントビルや職員さんなども共用することができて、開業費用も一緒に賄えるので資金を抑えられるのではないか」という考えがあるようです。

ご夫婦共に医師で、それぞれ異なる専門科目の場合は、同じテナントビルで別々のクリニックを開業することで、開業費用を抑えられる事もあります。

また、1つのクリニックを開業しご主人が院長として経営し、奥様が勤務医としてアシストをする場合もあります。もちろんその逆もあります。クリニックの経営が軌道に乗ってきたら、奥様も別のクリニックを開業することもできます。

これらのことは、一見するとメリットが多いように思われますが、実は大きなデメリットも秘めています。後ほどご説明いたします。

夫婦が同じ専門科目の場合

ご夫婦が同じ専門科目の場合、ご夫婦で1つのクリニックをいっしょに経営することができます。

確かにご夫婦ともに同じ専門科目のお医者さんであれば、設備投資が重複することもありませんし、診療も交代しながらお休みも取りやすい開業が実現できると思います。

患者さんが少ないときはお給料を融通できますし、患者さんが増えても二人で診療ができるので勤務医を雇う必要がありません。

ご夫婦で同じ専門科目ですと、そのような大きなメリットが得られます。

夫婦で専門科目が異なることが多い

そういったご相談を受ける際に多くの場合が、「ご主人が整形外科医で奥様が皮膚科医」などと言った、専門科目が異なる組み合わせでの開業を相談されることが多くあります。

ところが、そうしたご夫婦が異なる専門科目で一緒に開業しようとする場合は、開業のリスクが大変高くなります。

一緒に開業する場合は、一見するとメリットが多そうに見えますが、メリットとデメリットを良く検討することをお勧めしています。

専門科目が異なる夫婦がクリニックを経営するときのデメリット

ご夫婦で専門科目が異なる医師が、クリニックを同じ場所で開業しようとすると、2つの大きなデメリットがあります。

デメリット1.専門科目が異なると集患ができる立地条件が異なる

デメリット1.専門科目が異なると集患ができる立地条件が異なる

デメリットの1つ目は、ご夫婦の専門科目が違うことで、クリニックとして選定したい立地条件や患者さんの対象が違ってくることにあります。

例えば、ご主人が整形外科や内科などで主に高齢者を主要な対象患者とする一方で、奥様が美容皮膚科や産婦人科などと言った、比較的若い女性層を対象患者としている様な場合です。

クリニックを安定経営しようとすると、どれだけ集患ができるかがとても大事になります。集患は立地条件によって、ほとんど決まります。

整形外科や内科と美容皮膚科では、それぞれに最適なクリニックとしての立地条件が違ってきますし、クリニックに来る患者さんの層の違いによって、院内の雰囲気も違ってきます。

同じ場所での開業ですと、どちらかの診療科目の患者さんの数が少なくなるかもしれませんし、1つのクリニックで診療するのであればどの患者さんの客層に合わせて内装の雰囲気を決めるのかも難しくなります。

そのようなことから、どちらにも良さそうな場所を選ぼうとすると、結果的にどちらにもしっくりとこない中途半端な立地条件のテナントに、開業場所を決めてしまうことになり集患に苦労することになってしまいます。

例えて言えば、和食のお店とフレンチのお店を一緒にやるような感じと言えばなんとなく分かっていただけるでしょうか。

両方に良い条件のテナントが出てくる可能性もありますが、それを待っているとクリニックを開業するタイミングを失ってしまいかねません。

デメリット2.設備の稼働率が低くなり採算が取れにくい

デメリット2.設備の稼働率が低くなり採算が取れにくい

2つ目のデメリットは、ご夫婦での開業と言ってもどちらかが主体になって仕事をする場合が多いのですが、診療科目が違えばそれぞれの専門領域に必要な設備や医療機器を備える必要がありますが、一方の設備や医療機器の稼働率が低くなって、多額の設備投資をしたにも関わらず、採算が取れにくい体質のクリニックとなってしまうことです。

よくあるパターンとして、ご主人が中心となって奥様が子育ての合間に非常勤で勤務する場合や、奥様が中心となって開業して、大学病院などの勤務医であるご主人が週に1~2回程度の勤務をする場合などがあります。

そうした場合にも、専門の領域が違えば、双方に必要な設備と医療機器を備えなければならなくなります。

例えば、奥様が皮膚科の専門医で皮膚科クリニックを開業し、ご主人が消化器内科の専門医だったとします。すると、皮膚科クリニックにもかかわらず内視鏡の設備が必要になったりします。内視鏡は、それほど多くは使用しないので、予約も入りにくくなり稼働率が悪くなって、設備投資の採算性が悪くなります。

夫婦での開業でメリットが生まれるパターンとは?

夫婦での開業でメリットが生まれるパターンとは?

ご夫婦での開業でメリットが生まれる場合は、ご夫婦が同じ専門科目の場合です。

この場合には、対象とする患者層も同じで備えるべき医療機器も同じなので、同じクリニックの中に2名の医師が勤務することになり、患者さんの来院が少ない内は、お互いに休憩をとりながら診療を続けて、患者さんが増えてきたときには2診体制でクリニックの運営をすることができます。

ご夫婦のどちらかの体調が悪くなったとしても、お互いにカバーできますし、お互いにコミュニケーションを取りやすいので連携も取りやすいです。

忙しくなった時に勤務医を雇えば、お給料として支払ったお金は外に出て行ってしまいます。勤務医を雇うのにもたくさんの費用がかかってしまう場合が多いです。ご夫婦で勤務している場合には、支払ったお給料は同じ家庭の収入となりますので、所得を分散させることで節税効果も生まれて来るでしょう。

結論として、同じ診療科であればご夫婦で一緒に開業するということはメリットがありますが、ご夫婦の科目が違った場合にはデメリットの方が大きくなってしまうでしょう。

専門科目が異なるご夫婦がそれぞれクリニックを開業しようとする場合は、それぞれの科目で集患しやすい別々の場所を選ぶことをおすすめします。クリニックが多少離れていても、クリニックの安定経営を重要視してください。

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