スタッフの交通費の不正請求・・・?に気付いたら医院開業や医院経営、クリニック開業の支援ならオクスアイ

2013年8月29日作成
開業後のクリニック経営

勤務されている先生方は病院やクリニックでスタッフの方と共に仕事をしていると思います。
勤務医もスタッフも雇われる者としての立場は同じです。

開業すると先生がクリニックの経営者となるため、スタッフを雇用し、仕事ぶりを評価し、管理をしていかなければなりません。

今まで開業をお手伝いさせていただいた先生の事例でも、開業後のスタッフに関する悩みは少なくありません。

今回はある先生(A先生としておきましょう)からのスタッフについてのご相談をご紹介したいと思います。

スタッフの車通勤と患者さんからのクレーム

A先生のクリニックは郊外にあるクリニックです。
スタッフのほとんどは近所から通ってきます。

クリニックには駐車場もありますが、スペースに限りがあるため患者さん専用としています。
そのため基本的に公共機関(電車・バス等)での通勤以外は認めていません。

そんな中、A先生はあるスタッフが近くの駐車場に車を止めて通っているのを見かけてしまいました。

申請上はバスで通勤しているため、毎月およそ20,000円を交通費として支給していたのにもかかわらずです。

そのことについて、スタッフに問いただしたところ、「車じゃないと出勤時間に間に合わない」と言われたそうです。

そして、「車を有料駐車場に止めるとお金がかかるので、車をクリニックの前に止めさせてほしい」と頼まれました。

そのスタッフが看護師であり、クリニックにとって必要な存在でもあるためスタッフの要望を仕方なく認めることにしたそうです。

そんな時に問題が起こりました。

患者さんからのクレームです。

「いつも同じ車がクリニックの駐車場に止まっている。絶対に職員だ。患者が優先じゃないのか!」

交通費の不正請求・・・?

A先生は今回のクレームでスタッフの通勤について頭を悩ませました。

スタッフがクリニックの駐車場を利用するのは、患者さんのためにも禁止するのは当然です。

それでは、本来なら公共機関で通勤するはずのスタッフが車で通勤することについてはどのように対応するべきでしょうか?

他のスタッフについても、自転車通勤なのにも関わらず、バスを利用した場合の交通費を請求していることが判明しました。

これは見方によっては、「交通費の不正請求・・・」と捉えることもできます。

では、この「不正請求」は厳しく取り締まったほうが良いのでしょうか?

勤務されたことのある方なら経験があることですが、例えば電車の定期券などは半年分を購入すると、1ヶ月毎に購入するよりも料金が割引されます。

半年分の定期券を買っていたとしても、勤務先からは1ヶ月毎に購入する場合の費用を支給されていると思います。

割引で得をした分は、勤め人にとってささやかな喜びのようなものです。

経営者にとっては、実際の交通費よりも多く支払っているのですから、クリニックの経費の無駄遣いだと思うかもしれません。

でも、そのような行為がわかっていたとしても1ヶ月分の定期代を交通費として支給する意義が実はあるのです。

それは、経営者としての「無用な責任回避」です。

1ヶ月分の定期代を毎月支給しているのに、勝手に半年分を買ったのはスタッフの自己責任となります。

その様な場合、万一、買って間もない時期に定期券を紛失してしまったとしても経営者側が責任を負う必要はありません。

また、バス通勤のための交通費を支給しているはずなのに、バスを使わずに別の手段で通勤している場合も同じです。

それによって交通事故に巻き込まれたり、何か不利益が生じてもスタッフの自己責任となります。

スタッフのモチベーション向上と経営者の責任回避

交通費の請求額が正しいか間違っているかよりも、まずはスタッフの方々がクリニックの業務をしっかりこなしてくれることが重要です。

パート勤務などの場合には少しでも収入が多く欲しいでしょうし、交通費の支給は今まで通り続けた方が良いとA先生にはアドバイスしました。

公共の交通機関で通勤して、その費用を支払うと言うことは雇用の前提です。
車や自転車で通勤する場合は事故の危険性もあります。

就業規則に指定した以外の方法で通勤して事故などが起きた場合には、スタッフが勝手にしたこととして、雇い主である院長に責任はなく、労災保険なども出ないことを明確にしておかなくてはなりません。

交通費に関しては不正請求とは考えずに、公共の交通機関を利用した金額を支給することで、万一の事故の場合に院長の責任を回避することが出来る手段だと思ったほうが良いでしょう。

それでもどうしても金額のことが気になるようでしたら、ボーナスの支給の時にそれに相当する分を減額するという手段もあります。

悪質な不正請求は別として、交通費のささいな金額のことで職員のモチベーションを下げる結果になってしまうのは、もったいない事です。
クリニックの業績にも影響を与えかねません。

職員のモチベーションを維持しつつ、万一の場合に余計な責任を負わずに済ませることがクリニックの経営者として大切なことではないでしょうか。

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記事監修者

コンサルタント
一級建築士
金村かねむら 伯重のりしげ

金村伯重

経歴

昭和54年
病院システム開発研究所 入社
東京医科大学病院、焼津市立病院、富士市立中央病院、沼津市立病院、富士宮市立病院などの建替計画に参画
昭和59年
医療機構開発株式会社 入社
町立浜岡病院(現御前崎市立病院)新設に参画
昭和63年
オクスアイ医療事業開発株式会社設立

以来30年以上に亘り、数多くのクリニック開業をサポートしている。

総合病院であらゆる診療科目の医療現場に携わり、多岐に亘る分野の技術に精通する。また一級建築士である事から、施設造りまで自社で一貫して行う。クリニック開業を成功に導くソフトとハードの技術を確立し、他に例を見ないコンサルティングを実践。これまでサポートしたクリニックを全て成功に導いている。