競合の多い内科クリニック開業医で成功するポイントは?

競合の多い内科クリニック開業医で成功するポイントは?

クリニック開業コンサルティングQ&A

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内科医院の開業はすでに過剰傾向にあります。 特に都心部ではどの地域で探しても競合先がある様な状態です。

たとえば、ご縁の薄い地域での落下傘タイプのご開業となりますと、開業後はかなり厳しい事になると思います。

そのため、開業に関するスタンスをしっかりと持っていないと、いくら物件の情報を集めたところで、開業の場所は決まらないと思います。

つまり、開業前に何をセールスポイントにして患者さんに来て頂けるようにするかを、しっかりと考えておかないといけないということです。 先生のご専門は何か、どの様な強みがあるのか、他のクリニックとの違いは何かなど、開業するクリニックのコンセプトをきちんと考えておく必要があります。

例えば、糖尿病がご専門であれば、病院で診ている患者さんに引き続き来ていただきながらの開業という方法が有効です。また、病院との連携を密にして、新規の患者さんにもクリニックの特色をアピールする事が大切だと思います。

そういった専門性をアピールできない場合には、在宅医療を併用した開業形態を取るなどして、新しい患者さんを集めないと経営が困難になる事も考えられます。

また、開業後のクリニックの立ち上がりにはある程度の時間がかかります。 運転資金を含めた資金の手当と、ランニングコストを低減できる様な計画にする必要もあります。

厚労省は2020年から、都市部などの開業医の過剰な地域での新規開業を規制する方針を打ち出しました。当時は色々と話題になりましたが、現実的には新規開業を規制する有効な手段が見つからずに、ご承知の通り都心部でも新規の開業が続いている状況です。

ところが、これから開業を希望する先生方の中では、一般内科を標榜するクリニックは現実に過剰傾向にありますので、ご自身の立ち位置を特によく考えて開業を計画して行く必要が有ります。

一般内科の場合、医療技術面では競合する医院との差別化が難しいので患者さんを集める力が弱いと言う事が言えます。要するにお客様である患者さんが ドクターの医療技術の優劣を判断する事が難しいので、自宅や職場から近いので通いやすいと言うような理由や、クリニックがキレイでドクターやスタッフの愛想が良いと言うような理由で来院することが多いからです。

患者さんからしてみれば、コンビニで買い物をするのと同じ感覚で、どこのクリニックでも同じような診断と治療であれば、薬局で売薬を買うよりもクリニックで保険診療を受けて、処方箋を出してもらった方が安く薬を購入出来るというくらいの軽い気持ちで通院するパターンが多いと、わざわざ遠くのクリニックに行かないで近くの開業医で診てもらうと言う事になり、近隣で競合する内科医院が増えれば必然的に来院する患者数も減ってしまいます。

その様な事から、今後一般内科で開業を考えた場合には、在宅医療への取り組みを並行して行い、患者さんを待つ姿勢から積極的に訪問する医療に転換していかないと経営は難しくなってきます。

一方で、同じ内科領域でも専門性の高い分野では、大きく成功する可能性が残っています。例えば内分泌・糖尿病・甲状腺疾患や、循環器・呼吸器・アレルギー等を専門とするドクターはまだまだ少ないので、正しい開業の手順をしっかりと守って準備して行けば安定した経営を実現することが出来ます。

こうした領域の疾患は、長期に継続した治療を必要とするためにクリニックの経営面で見た場合には、安定した再来患者となりますので、売上げも右肩上がりに増加していく傾向があります。ただし、こうした疾患を持つ患者さんは既に主治医が居て治療を受けていますので、新規の患者さんを獲得するのは非常に難しいと言えます。

その為、専門性を打ち出していながら、いわゆる落下傘開業をした場合には、患者さんが来なくて暇を持て余し、経営的にも困難な状況に陥ることになります。

成功する方法は、病院で診ていた患者さんを連れて開業する事です。病診連携を実現することで、開業の初日から安定して患者さんの予約を取る事が出来て、経営的にも黒字スタートを切ることが可能になります。