クリニック開業で良い場所の見つけ方

物件情報の集め方

『開業に良い場所を見つけたい』と言うのは、誰もが共通して思うことです。
でも、誰にも共通して良い場所と言うのはありません。

ご自身に一番良い場所を探しましょう。

その為には、先ず何のために開業するのかと言う事と、調達できる開業資金を明確にしておくことです。
それによって、開業場所のエリアと物件の規模を絞り込むことが出来ます。

次に、情報集めですが、先ずはネットで希望条件に合いそうな物件を検索することから始めます。
Webで建物の立地条件や、近隣の様子なども分かりますので、物件の雰囲気などもつかめると思います。

ただし、ネットの情報は更新されていない、古い情報も多く有りますので、気になったら直接不動産会社に連絡してみることが必要です。
その時に、ネットに出ていない情報が有れば同時に確認しておきましょう。

開業の場所捜しを始めるのは、開業を希望する時期から逆算しておよそ10カ月前くらいが適当です。

現場の内見は基本です

良さそうな物件を見つけたら、先ずは現場を見に行きましょう。

これを物件を『内見する』と言います。

内見のポイントは、屋外の看板の取付位置とテナント内部の設備です。
建物の外観にこだわりのあるビルなどでは、看板の取付にかなりの制約が掛かる場合が有ります。

クリニックの看板は集患の大きなポイントとなります。
わかりやすい看板が上げられるかどうか、先ず確認しましょう。

テナント内部の最大のチェックポイントは、排水口の位置です。
トイレや流し台をレイアウト出来る位置が、この排水口の場所によって決まってきます。

これから建築を計画しているビルであれば、予めクリニックのレイアウトを設計して、必要な位置に排水口を作って置いてもらうと良いでしょう。

診療科目によっては大きな電源が必要です

診療科目によっては大きな電源が必要です。

テナント室内に、必要な電源は来ているでしょうか。
先ずは、室内に来ている電源の大元となる『分電盤』を開いてみて下さい。

電源には一般の電灯である100ボルトと、エアコンなどに使用する動力の200ボルトがあります。

分電盤の中には、これらの電源ブレーカーが付いていて、テナントに割り当てられた以上に過大な電流が流れないような仕組みになっています。
一般的なテナントビルでは、30アンペアから50アンペアくらいの電源が引き込まれています。

先生方のご自宅にも分電盤が付いていますので、どのくらいの電気が来ているのか御覧になってみて下さい。

普通のクリニックの場合は、大体テナントに来ている電源で間に合うのですが、整形外科や呼吸器内科の場合には、レントゲンの画像が高精細で無くてはならないので、200ボルトの電源を使った高圧撮影が必要とされます。

病院の放射線室では、当然200ボルトの高電圧を使って撮影していますが、一般的に内科医院の多くは電源の増設に大きな費用がかかるので、既存の100ボルトの電源を使った低圧撮影をしています。

整形外科や呼吸器内科の先生が開業する場合、クリニックでも200ボルトの高圧撮影が必要となりますので、レントゲン装置に20KVAから30KVAと言う大きな電源が必要となります。

他にも、美容皮膚科では、200ボルトのレーザー治療装置を複数置く場合に、歯科医院では機械室などに大きな電源が必要となります。

いずれの場合にも、建物全体の電源に余裕が有れば、新たに電源容量の増設が可能ですが、それらの工事にも相当額の費用を見ておかなくてはなりません。

クリニックには様々な設備が入りますので、開業してから電源が不足しないように始めにチェックして下さい。

診療圏の考え方

2020年に、厚労省が『開業規制』と言われるような指針を出して来た様に、都市部では数の上では開業医が過剰であるとされています。

以前から歯科医院はコンビニの数よりも多くて、過当競争に陥っていると言われていますし、内科医院も同様に、新規開業する場合には在宅医療にも並行して取り組まないと、患者さんの獲得が難しい状況となっています。

従来の診療圏の考え方は、単純に数の上での需給のバランスの中で判断されていましたので、患者さんが求めるものへの視点が抜け落ちていました。

例えて言えば、従来型の開業は学校給食に似たようなもので、食育や栄養バランスを重視していた感じが致します。

当然、供給が行き渡れば、それ以上は必要とされ無くなってしまいます。
よくある診療圏調査のソフトで出てくるレポートが、その様な資料です。

競合の多い中で、新規開業する場合に一番必要なことは、患者さんを引きつけるために、何が提供できるかという事です。

場所が分かりやすい・クリニックがキレイだ、と言う目に見える魅力はもちろん、職員さんも含めた感じの良さ、ドクターの医療技術の信頼性なども、とても大切な要素になります。

世の中の一般のお仕事と同様に、患者さんを引きつける魅力を発信できるクリニックの診療圏は無限に広がっていきます。

診療圏ソフトの正しい利用の仕方

開業支援を謳う色々な会社が、診療圏調査を無料で行ってくれます。

いくつか市販の患者推計のソフトがありますが、開業場所と診療科目を入れれば自動的に周辺の競合施設と、開業した場合に来院する患者数を推計してくれる便利なシステムです。

ところが、こうしたレポートをご覧になった先生方も多くいらっしゃると思いますが、来院する患者数の予測値が、かなり的外れな内容の場合が多く有ります。

と言うのは、患者推計のロジック自体に問題が有ります。

患者推計の係数として使用するデータは、厚労省が3年毎に行う『患者調査』による受療率を使用して、科目毎に地域の人口に対する受診者数を計算しているのですが、全国の病院・診療所から無作為に抽出した施設で、その日1日に外来に受診した患者数を基礎としています。

都市部や山間僻地も一緒になった、サンプリングの推計値ですので、地域性や専門性なども、かなりアバウトな感じで患者数が算出されてしまいます。

例えば、都市部で皮フ科の患者推計をすると、日際には100人くらいの患者さんが来院するクリニックでも、1日あたりの来院数が10人程度という推計が出てくる事がよくあります。

周辺の人口データは、5年毎に行われる『国勢調査』の数値を使用していますし、近隣の競合施設もソフトのバージョンが上がらないと、新しく開院したクリニックなどは乗っていない場合が多いです。

人口動態は、徐々に変化するものの、極端な変動は少ないのである程度は参考になりますが、競合施設は改めて最新の分布を調べて、実際に各施設を回ってみることが大切です。

診療圏ソフトを利用して、開業場所の動向を確認した後は、実際に現地を歩いて回り、競合施設の確認をする事で、患者数の推計をより精度の高いものとする事が出来ます。

郊外で開業する場合、戸建てとテナント開業のどちらが良いのでしょう

地方や郊外では、昔から戸建て開業と言う事が一般的ですが、これからも同じでしょうか。

戸建て開業の場合、自宅を併設しての建築となると初期投資がかなり大きくなります。地方で安い土地が手に入るか、すでに土地を持っている場合以外にはあまりお勧めできません。

親御さんが沢山資金を出してくれるなら話は別ですが、首都圏近郊の場合には、土地の購入費まで借金をしては、初期投資が大きくなりすぎて事業が成り立たないでしょう。

戸建てとテナント開業のどちらが良いかという事は、単純に準備出来る資金の問題で判断出来ます。

事業というのは全額借入で開始して、それを返済しながら利回りを増やしていく投資をすると言うことです。
ただし、投資の中で借入をして良いのは、利益を生み出す部分に限ります。

戸建て開業を考えた場合、多くの場合、自宅を併設するプランを勧められる事があります。
関係する業者さんからは、色々なメリットが有る様な説明を受けると思いますが、単純に、建築会社の売上げと利益が上がる事が目的である場合が多いです。

新たに土地を購入したり、住宅や私的な目的に掛けるお金は、開業が成功してからの所得をまわすことが本来の姿であって、開業資金と共に借入をして支払うものではありません。

開業のリスクを少なくするためにも、初めの投資は直接売上げを上げる部分に集中することが求められます。

土地を所有しているか自己資金で購入出来るのであれば、融資を受けてクリニックの建物を新築しても良いと思います。

それが出来ない場合には、郊外であれば、コンビニ跡地などの駐車場付きのテナントも選択肢の1つとして検討する事が出来るでしょう。

地域によって様々な賃借物件がありますので、まずは不動産関係に関する初期投資を抑えて、クリニックの経営が軌道に乗った後で、十分な資金を準備して、思い通りの場所にご自宅を新築なさることをお勧めします。

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