クリニック開業場所の選び方とは?立地条件の良い物件の見分け方
開業して黒字化するためのポイントとは?

病院を退職して、クリニックの開業を考えている先生に、ぜひとも知っていただきたいことがあります。
それは、クリニックを開業するということは、経営者になるということです。つまり、赤字になったら倒産して、場合によっては借金だけが残る可能性があるということです。
2026年4月から開業規制が始まったように、クリニックの数が増えて患者さんの取り合いになり、赤字になっているクリニックも増えていると言う報告があります。(厚生労働省「令和5年度・6年度における病院・診療所の赤字割合」を参照)
このデータは、医療法人のデータですから、税金を払いたくないということでわざと赤字にしているところもあるかもしれません。しかし、患者さんが少なくなって赤字になっているところは、資金繰りが大変厳しくなっていることでしょう。
現在の状況では、開業したクリニックの8割ほどはなんとか経営が成り立っているようです。しかし、赤字と黒字が行ったり来たりと、不安定な経営になっているところも少なからずあります。そのようなクリニックでは、資金繰りが心配になり、診療に集中することができません。
「では、しっかりと黒字になるクリニックにするためには、何に気を付けたらいいのか?」ということですが、それは先生が何を目指すのかにもよります。もし、「都内の競合の多い場所でも、しっかりと黒字にできるクリニックを開業して、近隣の患者さんに貢献したい」と考えているのであれば、次の条件をすべて満たした開業をすることです。
- 1.立地条件の良い場所で開業すること
- 2.ミニマム開業をすること
- 3.医師優遇税制を活用すること
この記事では、「立地条件の良い場所で開業すること」を徹底解説いたします。ミニマム開業については「ミニマム開業とは?意味やメリット・デメリット、子育て開業を徹底解説」を、医師優遇税制を活用することについては「開業医の年収と手取りをシミュレーション!医師優遇税制で手取りを増やす」をご参照ください。
立地条件の良い開業場所とは?

最初に立地条件の良い開業場所とは、どういった場所なのかを定義したいと思います。それは、次の条件を満たす場所です。
- 集患がしやすいこと
- 広さが適切であること
- テナント賃料が事業規模に見合っていること
集患がしやすい場所とは?
集患がしやすい場所とは、駅前や繁華街などの人通りが多くて、クリニックの場所が目立ちやすく、患者さんが利用しやすい便利な場所のことです。
診療科目によっても集患しやすい場所が異なります。例えば、心療内科であれば、オフィス街やその近隣に加えて住宅地の駅前などが理想的です。小児科であれば、新興の住宅街が良いでしょう。
先生によっては、「自宅を改装して開業したい」と考える先生がいらっしゃいます。診療科目にもよりますが、先生の自宅の周りに患者さんが多くいたとしても、先生の自宅の前に人通りがなければ、いくら大きな看板を掲げたとしても、認知されにくいため、患者数が増えにくいと言うのが実情です。
例えば、コンビニを経営すると考えてみてください。人通りの少ない場所でコンビニを開業しても、お客様が少ないので黒字化が難しくなります。クリニックも同様に、人通りの少ない場所ですと、患者さんの来院数が少なくて、黒字化するのが難しくなります。
また、自宅を改装するとなると、工事費が高くつくことも多いです。
適切な広さとは?
先生のライフプランとして、「大きなクリニックを持ちたい」と夢を持っている先生もいます。しかし、テナント料は、坪単価×面積で決まるため、広い物件を借りるとなると、テナント料が高くなります。テナント料が割高になると、黒字化をするためにそれだけ多くの患者さんを集患しないといけません。かといって狭すぎても問題となります。
テナントの家賃は面積に比例するため、できるだけコンパクトな面積のテナントに必要な診療機能をレイアウトできるのが、事業に最適な物件と言えます。
テナント賃料を坪単価だけで決めないこと
集患しやすい場所は、坪単価が高くなります。坪単価の高い場所での開業は、先生によっては「経費が高くなってしまう」と考えて、集患がしにくい坪単価の安いエリアを選んでしまうことがあります。
テナント賃料は、坪単価×面積で決まります。坪単価の安い場所はテナント賃料も安くなりやすいですが、集患がしにくくなるため、黒字化が難しくなることもあります。そうなれば、本末転倒です。
テナント物件を選ぶときは、坪単価の高・低だけで決めるのではなく、適切な広さのテナントを選び、適切なテナント賃料の場所を選ぶことをおすすめします。そのような手頃な家賃で集患がしやすい場所が、立地条件の良い場所になります。
立地条件の良いテナント物件と契約するためのポイント

立地条件の良いテナント物件と契約するためのポイントは、
- 開業物件を常に探すこと
- 100%を目指さないこと
- 自己資金を準備しておくこと
開業物件を常に探すこと
開業場所となる物件は、空き物件と契約することになります。そのため、空きテナントがなければ、開業ができません。空きテナントを見つけるためには、常に探すことが大切です。
当社にご相談をいただけたら開業物件を探すお手伝いをしますが、同時に先生にも物件を探してもらい、立地条件の良い空きテナントを発見する確率を高めます。立地条件の良い場所は、同じように開業をしようと考えている先生や、他の業種の人も探していることがあり、早い者勝ちだからです。
開業物件の探し方は、基本はインターネット検索と不動産会社へのヒアリングです。条件の合う空き物件を発見したら、クリニックの開業ができそうか、求める条件に合うかを確認し、先生と開業コンサルタントが内見をしに行いって確かめます。
100%を目指さないこと
「100%を目指さないこと」とは、何もかもがご自分に都合の良い条件の物件は見つからないと言う事です。
「人通りの多い場所で、スペースも広くて、家賃が安い物件」というのはありません。不動産やテナント物件というのは相場があり、大抵はその相場から大きく外れる物件はありません。
ご自分に100%都合の良いテナントを探そうとしていたら、いつまで経っても理想の物件に出会うことはないでしょう。
場所が良ければ家賃が高くなってしまうのは当たり前のことです。その様な場所でクリニックの開業に必要な面積を積み上げていけば、必要なスペースはいくらでも広がってしまいます。当然家賃も高額になって、その高額な固定費がクリニック経営の大きな足枷となってしまうのです。
そこで、クリニックに必要なスペースを診療機能だけに限定して、院長室やスタッフさんの休憩室などの2次的な機能は全てカットして、診療スペースもなるべくコンパクトに仕上げていくことで安定した経営を実現することができる様になります。
点数をつけるとしたら満足度が80%のテナント物件であっても、こうした工夫を重ね、適切な取り組み方を行う事によって不満足な20%の部分を補って、十分に開業の成功に繋げることができる様になります。
自己資金を準備しておくこと
立地条件の良いテナント物件を見つけたら、契約金を用意する必要があります。なぜなら、契約金を先に用意できた人が、そのテナント物件の契約ができるからです。そのために必要な自己資金を準備しておくことが大切です。自己資金があれば、タイムリーに契約金を支払うことができます。
開業コンサルタントによっては、「自己資金が無くても開業ができる」とアドバイスする人もいるようです。ところが、自己資金がないと立地条件の良いテナントが見つかったとしてもすぐに契約することが難しくなるため、立地条件の良いテナントをみすみす見逃してしまう事になりかねません。
テナント契約までに準備しておきたい自己資金の金額は、山手線や東京23区内や横浜駅などの大きな駅の周辺での開業を予定していれば1,000万円ほど、他の場所であれば500万円ほどは準備しておくことが必要です。
自己資金については、「クリニック開業準備で用意すべき自己資金はどれくらい?」をご参照ください。
テナント契約のタイミング

テナント契約には理想的なタイミングがあります。それは、診療科によって繁忙期がありますので、その1~2ヶ月前に開業するようなタイミングでテナント契約ができれば理想的です。テナント契約をしてから開業するまでの時間は、個人クリニックの場合6ヶ月ほどかかります。
例えば、内科クリニックであればインフルエンザや発熱が多くなるシーズンは12月頃ですが、その2ヶ月ほど前の10月にオープンできればタイミングとしては理想的です。10月頃にオープンするためには、その半年ほど前の4月までにはテナント契約ができたら理想的です。反対に、10月頃にテナント契約をすると、その半年後の患者さんが少なくなる4月頃にオープンするため、集患に苦労する時期なので、運転資金を十分に準備しておく必要があります。
他にも耳鼻咽喉科クリニックであれば、1月頃から花粉症が始まりだし、そのピークが3月頃です。すると前年の12月に開業すると理想的ですから、その半年ほど前の6月頃にテナント契約ができたら理想的と言えます。
このように、診療科によってはテナント契約の理想的なタイミングがあり、繁忙期や閑散期のシーズンのある診療科はある程度は気にする必要があります。
しかし、テナント契約のタイミングを気にし過ぎて、あせって立地条件の悪い物件と契約してしまったり、開業のタイミングを逃してしまうこともありますので、基本は良いテナントを見つけたらそれを見逃さないで確保する事が大切です。
目立つ場所に看板を設置するなどPRをしっかり行うこと

いくら高い医療技術を持っている先生でも、開業したことを近隣の患者さんに知られなければ、クリニックに来院してもらえません。
近隣に引っ越したばかりの人など、地域に馴染みのない人であれば、ホームページやSNSなどのWeb広告で見つけてもらえるかもしれませんが、長年地域に住んでいる人にPRする方法は、クリニックの看板を見てもらう方法が基本です。
クリニックのホームページを見てくれる人は、クリニックの名前を知っている人が大半です。患者さんが調べるのは、たいてい何時から何時まで診療をしているのか、休診日はいつなのかなどの通院を前提とした情報です。
クリニックに目立つ看板を設置することはもちろんのこと、駅近くのクリニックであれば、駅の階段やプラットホームなどに看板を設置することも大切です。それらの看板には、QRコードをつけて、気になる人がホームページにアクセスしやすくしておくことも大切です。
また、クリニックの内装工事が始まったら、テナント物件の目立つところに、何科のクリニックがいつ開業するのかを張り紙しおくことをおすすめします。それを見た人が、来院してくれる様になります。
開院直前の内覧会も、近隣住民にクリニックの存在を知ってもらう大きな機会となります。近隣に開院チラシをポスティングや新聞折込で告知して、内覧会に来たお客様にクリニックの印象がよくなるように対応してください。印象が良ければ、開院後に来院してもらえる様になるでしょう。
まとめ:テナント物件は集患のしやすさで選ぶ
以上、クリニックの開業場所の選び方や、立地条件の良いテナントに入居する方法、開業後の集患について解説いたしました。
開業場所選びのポイントをひとつに絞るとするならば、「集患のしやすさで選ぶこと」です。よくある間違った選び方は、坪単価の安さで選んでしまうことです。坪単価が安くても、集患がしにくい物件だと、黒字化が難しくなります。
そして、一度開業をしてしまったら簡単に引っ越すことはできませんから、開業場所選びは慎重に行うことが大切です。開業場所の良し悪しの見分け方は、当社にご相談をいただけましたら先生の希望に合う最適な物件を調査してご提案いたします。
東京やその周辺都市で開業物件を探そうとしている先生は、ぜひ当社までご相談ください。オンラインで無料の開業セミナー&個別相談会を開催しておりますので、そこで開業物件の探し方や選び方もアドバイスしています。
先生からのご連絡をお待ちしています。



