クリニックを開業するなら個人クリニックと医療法人のどちら?

クリニックを開業するときの選択として、個人クリニックと医療法人があります。「個人クリニックと医療法人のどちらで開業するべきか?」という悩みをお持ちの先生もいらっしゃると思います。
当社では、手取りを最大化して低リスク開業をしたい先生には、個人クリニックとして開業することをおすすめしています。しかし、個人クリニックのまま経営を続けるのか、途中で医療法人化をするのかは、先生が目指すもの、節税方法に対する考え方などによって異なります。
この記事では、個人クリニックと医療法人の意味、どちらで開業する方が得なのか、個人クリニックのメリット、個人クリニックが医療法人化するタイミングなどを解説します。
個人クリニックと医療法人の意味
個人クリニックとは?
個人クリニックとは、個人事業主として開業する方法です。個人事業主とは、税務署に事業申請をするときに、「個人事業主として開業します」もしくは「しました」と申請をする方法です。事業と先生個人が同じものとみなされます。
個人事業主は、クリニックでも一般的な企業でも同じです。クリニックを経営して利益が出たら、その利益から税金等を支払った残りが、すべて先生の手取り収入になります。先生が院長として開業し、先生お一人で診療を行うような、小規模な売上のクリニックは個人事業主の方がお得です。
なぜお得なのかと言いますと、保険診療による売上高が年間5,000万円以下であれば、租税特別措置法第26条による医師優遇税制が利用できるからです。この医師優遇税制を活用できれば、大幅な節税ができて、先生の手取り収入を大きく増やすことができます。
医師優遇税制については、後ほど解説いたします。
医療法人とは?

医療法人とは、法人化したクリニックのことです。法人化の申請をして認められたら、法人になることができます。法人化すると、クリニックが独立した法人格(人格)を持ち、事業と先生個人が別のものとして扱われます。
医療法人では、先生の給料は、医療法人から支払われます。また、新しい制度の医療法人は株式会社とは異なり、出資者が医療法人の資産に対して一切の財産的権利を持ちません。たとえ内部留保が数億円あったとしても、解散時の残余財産は国や自治体に帰属します。
医療法人では、個人事業主のクリニックでは認められないような経費が認められるなど、別の節税方法も利用できるようになります。
個人クリニックと医療法人は何が違うのか?
クリニックを開業して、医療活動をすることは、個人クリニックでも医療法人でも同じです。個人クリニックと医療法人は何が違うのかと言いますと、主に
- 給料の考え方
- 税金のかかり方
- 税務申告で認められる経費
- 医師優遇税制の活用可否
これらを考慮して、先生が目指す事業規模、資産形成、どれくらいの収入を得たいか、節税方法も考えて、個人クリニックか医療法人かを選ぶことになります。
どちらを選べばいいのか?

開業当初は個人クリニック
個人クリニックと医療法人のメリットの違いは、基本的には売上高によって異なります。診療報酬の売上高が年間5,000万円以下であれば個人事業主で、5,000万円を超えて1億円に迫る様な規模になれば医療法人化を検討します。
開業当初はどうでしょうか。
開業した初月は、患者さんの来院は少ないため、売上高も低いです。クリニックの認知度が上がり、患者さんからの評判も上がるにつれて、クリニックの来院数も増えていきます。それに伴って、売上高も増えていきます。
しかし、開業初年度の売上高は、5,000万円を超えないことが普通です。もちろん、先生の努力などによって5,000万円を超えるようにもできるかもしれませんが、開業する月が1月とは限りませんので、年度単位の確定申告では月数が少なければ売り上げも少なくなります。
仮に、初年度の1ヶ月の平均売上高が1,000万円だったとしても、9月に開業したのであれば、その月の売上高の合計は4,000万円です。個人事業主の会計年度は、その年の1月~12月までの12ヶ月間となります。
患者さんの来院が増えて、年間の売上高が5,000万円を超え、もっと売上高を増やしたい場合には、医療法人化を検討すると良いと思います。
規模の拡大を目指さないのであれば個人クリニックのままでもOK
5,000万円を超えそうだとしても、規模の拡大を目指さない場合には、個人事業主のままにしておくことをおすすめします。なぜなら、先ほどご紹介した医師優遇税制が利用できるのは、「年間売上高5,000万円までの個人クリニックだけ」という条件があるからです。
5,000万円を超えてしまったら、医師優遇税制が活用できないため、税金が多くかかってしまい、先生の手取りが大幅に下がってしまいます。
次の図のように、売上高5,000万円と同等の手取りを得ようとしたら、売上高1億円のクリニックを目指す必要があります。ですから、事業拡大を考えていない場合は、売上高が5,000万円を超えそうになったら、それを超えないように調整をして、手取りを最大化した方がお得になります。

個人クリニックから医療法人になることも可能
いずれ売上高1億円以上を目指すことを考えている先生であれば、開業当初は個人クリニックにしておき、売上高が5,000万円以下のときは個人クリニックのまま経営をします。患者さんの数が増え、売上高が5,000万円を超えて1億円に迫る様な規模になれば医療法人化を検討しても良いでしょう。
このように、個人クリニックから医療法人にすることができ、売上高に適した組織形態に変更することができます。
また、医療法人を解散して個人事業主に戻すことも可能です。
ただし、法人化したクリニックを解散して、個人事業主に戻したりすることは、行政の許認可事項を無視する事になるので、理由によってはかなり嫌な顔をされることは覚悟してください。
個人クリニックだけに認められる医師優遇税制とは?

個人クリニックだけに認められる医師優遇税制について解説します。この医師優遇税制とは、租税特別措置法第26条にて認められている節税方法です。これを利用できることが、個人クリニックの最大のメリットと言えます。
医師優遇税制を利用したときの個人クリニックと、売上高1億円を目指す場合とで、先生の手取りを試算し、比較検討したいと思います。
医師優遇税制の内容
この医師優遇税制の内容とは、簡単に言えば、
売上高の約70%が経費として認められる
というものです。これがどのように先生の手取りを増やすのか、少し解説いたします。
仮に、1年間の売上高が5,000万円だとします。その約70%が、税務署への申告で経費として認められます。
経費として認められる金額・・・5,000万円×70%=3,500万円
売上高から経費を引いたものが利益です。
利益・・・5,000万円-3,500万円=1,500万円
この利益が、先生の年収になります。これに税金などが500万円ほどかかるので、利益からの手取りは、
利益からの手取り・・・1,500万円-500万円=1,000万円
先生の手取りは、これで終わりではありません。先ほど、経費として認められた金額が3,500万円でした。ところが、実際の経費は、3,500万円も使用しない様に経営します。すると実際の経費と、経費として認められる3,500万円の差額を、先生の手取りとすることができます。
仮に、1年間の経費が2,000万円だったとします。すると、3,500万円との差額は、
差額・・・3,500万円-2,000万円=1,500万円
利益からの手取りと差額の手取りを合わせたものが、先生の手取りとなります。
手取り・・・1,000万円+1,500万円=2,500万円
この手取りを、医師優遇税制を利用しないで得ようとすると、年間の売り上げを1億円くらいにすることで年収は約4,500万円になります。売上高5,000万円のときに、医師優遇税制を利用すれば、売上高1億円で年収約4,500万円の場合と同等の手取りとなります。
売上高1億円のクリニックでの手取りは?
次に売上高1億円のクリニックでの手取りを試算いたします。売上高1億円のクリニックは、経費が5,000~6,000万円ほどかかります。個人クリニックの場合だと、先生の年収は4,500万円ほどとなります。
年収4,500万円ほどなら、医師優遇税制を活用したときと手取りは同じになります。つまり、売上高5,000万円と、売上高1億円で、先生の手取りは同じなのに、患者さんの診療数は2倍の差になります。
売上高が1億円以上になってくると、売上高5,000万円以下で医師優遇税制を利用したときの手取りを超えることができます。売上高5,000万円から1億円までの間が、多く働く割に手取りが少なくなるという結果になります。
先生1人では売上高1億円は難しい

クリニックの売上高1億円以上を目指す場合には、先生お一人だけでは診療の対応が難しくなります。そのため、非常勤の医師や多くのスタッフさんを雇い、規模の大きなクリニックを開業する必要があります。その結果、経営リスクも高くなります。
先生お1人では売上高1億円は難しい理由を、計算で出したいと思います。もう一度、数字の計算にお付き合いください。
仮に、先生がクリニックを開業して、患者さんがたくさん来院してくれて、先生が1人で1日100人診察したとしましょう。このときの、患者さん1人当たりの診察時間は5分ほどになります。このときの、先生が働く時間は、
先生が働く時間・・・100人×5分=約8時間30分
休憩時間や事務作業を含めると、毎日10時間くらいクリニックに居ることになります。朝8時過ぎにクリニックに入り、夜6時過ぎまで働く計算です。
クリニックが開業する日数は、月当たり平均20日だとします。すると、月の患者数は、
月の患者数・・・100人×20日=2,000人
患者さん一人当たりの平均診療単価が4,000円だとすると、月の売上高は
月の売上高・・・2,000人×4,000円=約800万円
年商は、12倍して9,600万円。これだけ働いても、まだ1億円に達しません。1日平均110人の患者さんを診療することで、年商1億円に達する計算になります。
これだと、先生は毎日11時間くらい、クリニックに居ることになります。このような働き方は現実的ではありません。
そこで、非常勤の医師を雇う必要が出てきます。ところが、非常勤の医師は支払う給料が高くなるので、もっとたくさんの患者さんを診療する必要があります。そのようなクリニックでは、クリニックの規模が大きくなり、スタッフさんの人数も多くなり、経費が余計にかかるようになります。
そうすると、より忙しくなった割には先生の手取り収入は少なくなります。資金繰りも悪くなる可能性が高まり、「これから先もたくさんの患者さんが来続けてくれるだろうか?」という別の心配も出てきます。
売上高1億円を目指す場合には、開業当初から規模の大きなクリニックを開業する必要があります。なぜなら、クリニックは規模を拡大するためには引っ越しをしないといけなくなり、新しくクリニックを作る費用がかかり過ぎるので、引っ越しは現実的ではないからです。
このようなことで、1億円以上の売上高を目指す場合には、リスクが高くなるため、クリニックの事業計画を入念に立てる必要があります。
そこで、当社では売上高を5,000万円以下に抑え、1億円のときと同程度の手取りが得られる医師優遇税制を活用した開業をおすすめしています。
医師優遇税制の利用条件
このような、医師にだけのお得な医師優遇税制ですが、利用には条件があります。その条件とは、
- 個人事業主であること (医療法人化していないこと)
- 1年間の売上高の上限が、保険診療で5,000万円以下、保険外診療で2,000万円以下であること
- 医師優遇税制を利用する旨を記載して税務申告すること
1年間の売上高の上限は、保険診療と保険外診療の2種類で上限が異なります。これらをうまく組み合わせられると、売上高が最大7,000万円まで医師優遇税制を利用でき、手取りを増やすことができます。
医師優遇税制を活用して手取りを最大化する方法
医師優遇税制を活用して手取りを最大化する方法は、
- 保険診療の売上高を出来るだけ5,000万円に、保険外診療の売上高を出来るだけ2,000万円に近づけること
- 出来る限り経費を低く抑えること
この2つの差額が大きくなるほど、先生の手取りを増やすことができます。クリニックで必要となる代表的な費用は、
- テナント賃料
- スタッフの人件費
この2つのランニングコストです。他にも広告宣伝費や水道光熱費などの費用もかかりますが、テナント賃料や人件費と比べたら、小さな金額です。テナント賃料と人件費を減らす一番の方法は、クリニックの規模をコンパクトにすることです。
そして、売上高1億円と比べて半分の患者さんの人数で良いわけですから、先生は長時間働かなくても良くなり、診療時間もミニマムにできます。
手取りが増え、低リスクな開業方法「ミニマム開業」
このような開業方法を「ミニマム開業」といいます。ミニマム開業のポイントは、次の4つをミニマムにすることです。
- 1.スペース
- 2.診療時間
- 3.スタッフ数
- 4.ランニングコスト
スペースがミニマムで、診療時間もミニマムになるため、スタッフ数が少なくても運営ができるクリニックになります。たくさんのスタッフさんを雇う必要が無いので、人件費を抑えることができます。
ランニングコストを少なく抑えることができれば、それだけ少ない患者数でも黒字化しやすくなります。つまり、ミニマム開業はリスクの低い開業と言えます。
ミニマム開業の無料相談なら実績多数のオクスアイ

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- 一般的な開業とミニマム開業の両方の支援が可能
- ミニマム開業で、外来医師多数区域でも低リスク開業の支援が可能
- 長年の経営者としての経験を踏まえた実践的なコンサルティング
- 他社の技術に頼ることなく、自社で最後まで一貫したコンサルティング
- 内装設計にも強みあり(ミニマム開業に適した内装設計・施工に対応)
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