ミニマム開業とは?メリット・デメリット

ミニマム開業とは?

当社ではクリニック開業コンサルティング支援をしておりますが、東京を中心とした都市部では、病院勤務に疲れた医師から「開業したい」というご相談が多く寄せられています。

ところが、現在は第三次開業ブームとも言われている様に、これまで多くの開業医が誕生した結果、開業規制という政策が出てくるほど、都市部に開業医が集中して過当競争になる傾向を見せています。

かつては、開業すれば患者さんの獲得に困ることはなく、安定した経営が当たり前の開業医生活を送る事ができました。

その時代には開業にリスクはなかったと言えるでしょう。

ところが、開業医の数が増えた事で現在では新規開業のクリニックは、患者さんの獲得が難しくなっています。最近では、開業しても経営が苦しくなって撤退するクリニックも出始めています。

その様な状況にあるにも関わらず、開業の形態は相変わらず昔のままの大艦巨砲主義で、「施設と設備を充実させる事が患者さんを引きつける大きな力になる」と、ワンパターンの指導をする開業コンサルタントが大変多くいます。

クリニックが不足していた時代から、充足期を経てクリニック過剰とも言える時代となってきた今、このような大鑑巨砲主義の開業には大きなリスクが伴うようになってきました。

クリニックの売り上げは、診療単価と患者さんの数で変化してきます。一方でクリニックの経営に要する経費は家賃と職員さんの人件費という、2つの固定費が大きな割合を占めています。

過当競争で患者さんの獲得が難しい現在、安定した経営体質を作るためのクリニック開業とは、家賃と人件費という固定費をできるだけ小さくする事です。すると、少ない患者数でも安定した黒字経営を続ける事が可能となります。

これがミニマム開業の本質です。

ミニマム開業のメリット・デメリット

ミニマム開業とは?メリット・デメリット

ミニマム開業のメリット

ミニマム開業のメリットをあげると次の様になります。

  1. 1.テナント契約に必要な資金を始め、内装工事などもスペースが小さい分、開業全体の設備投資が少なくて済む。
  2. 2.集患のために立地の良い場所を選ぶ必要があるので、テナントの賃料単価は高めになるが、坪数を小さめに計画するのでテナントの家賃全体が少なく済む事から安定した経営ができる。
  3. 3.テナント賃料などの固定費が少なく、さらにはパート職員で人件費を抑える事で、子育てとキャリアを両立したい女性医師の時短開業に向いている
  4. 4.租税特別措置法第26条による概算経費の適用によって、短い診療時間でも先生の手取り収入を増やすのに向いている
  5. 5.クリニックの運営に必要な経費を最小限に抑えられるので、少ない売り上げでも黒字になりやすく経営のリスクを最小限にできる

ミニマム開業のデメリット

また、ミニマム開業のデメリットは次の様な事があります。

  1. 1.クリニックのスペースが少ないので、院長室や職員休憩室・倉庫などの2次的な部屋を作る事が難しい。
  2. 2.小さなスペースであっても、クリニックとして必要な設備と機能を装備するので、面積に対する設備投資の単価が相対的に高く見える。
  3. 3.診察室を増やせないので、患者さんが増えても医師の数を増やす事ができなくなり、診られる患者さんの数に限度があって、売り上げも頭打ちしやすい。
  4. 4.感染症などの患者さんへの対応に必要な動線の分離が難しく、限られたスペースなので隔離室を分離して作る事が難しい。
  5. 5.来院する患者さんが多くなると、待合室の患者さんが密になりがちとなり院内感染のリスクが高まる。

この様にミニマム開業にも、考え方によっては多くのメリットとデメリットがありますので、メリットとなる部分を伸ばし、デメリットとなる部分をカバーしていく開業計画が必要となります。

女医の子育てとミニマム開業

女医の子育てとミニマム開業

子育てと勤務医の両立は難しいのか?

年々女性医師が増加していますので、当然のことながら多くの方が結婚と出産を経験されます。

ところが、病院では勤務する医師が少ないために、女性医師であっても勤務形態は男性医師と変わらない、拘束時間の多い勤務にならざるを得ないという現状があります。

多くの病院には出産に関しては産休や育休の制度があるものの、そうした休暇の後に職場復帰すると、子育てに必要な時間を作ることが大変難しくなってきます。また、産休や育休の制度を使って長期の休暇を取ると、なんとなく勤務先での居心地が悪くなってしまう場合もあります。

そこで多くの女性医師が正職員として勤務していた病院を退職して、非常勤で病院やクリニックに勤務しながら子育てをする様になります。

ところが非常勤といっても、お子様の急な発熱や受験のための学校行事で、契約した勤務時間に穴を開けるわけにはいきませんので、なかなか不自由な暮らしを改善することができません。子育てを優先するか、それとも今の仕事を優先するのかの選択に迫られる女性医師が増えています。

実は子育てと開業の両立はそれほど難しくない

実は子育てと開業の両立はそれほど難しくない

そこで自分の時間を取りやすくするために開業を考える女医さんが多いのです。

開業を考えたら、各種手続きや経営といった医師の仕事とは異なる初めて経験することが多いので心配になり、開業医をされている先輩に相談することが多いと思います。先輩の開業医から聞く話の多くは「開業は大変だ」ということばかりなので、開業の決断ができないまま医師としてのスキルを十分に生かすことができない、アルバイト生活を送ることになります。

実は子育てをしながらの開業はそれほど難しいものではありません。

朝の10時から診療を初めて、16時までの6時間の診療を行う時短開業であれば、朝と夕方の時間を子育てに十分生かすことができます。

最近では予約システムが多く利用されているので、夕方からしか来院できない患者さんを除いても、診療に必要な実稼働の時間は、昼休みをなくして軽い休憩程度で済ませることで十分に確保することができます。

こうした時短開業では、日中に来院できる患者さんだけを対象とするので、売上が頭打ちになりなかなか増えないことがあります。

そうした条件のもとでも黒字経営を実現するためには、固定費となるクリニックのテナント賃料を最小限に抑えることです。

患者さんが集まりやすい良い場所で開業しなくてはなりませんので、必然的にテナント賃料の坪単価は高くなりますが、ミニマム開業であれば心配ありません。

そうした単価の高い場所で、従来通りのクリニックに必要な面積を確保しようとすると、固定費としての家賃が高くなってしまい、黒字経営を実現することが難しくなってしまいます。そこで、スペースを最小限にして、診療機能に特化したレイアウトを実現したミニマム開業を実現します。そうすることで、クリニックの経営に必要な経費を最小限に抑えて、少ない患者数でも黒字経営が実現できます。

このように計画することで、子育てをしながら女医さんが安心して開業することができます。

ミニマム開業の流れ

ミニマム開業は一般的には時短開業とペアで考えられることが多いです。

経費削減によるミニマム開業

経費削減によるミニマム開業

先ほどもご説明しましたが、ミニマム開業は、子育て中の女医さんや定年退職をされた勤務医といった、ワークライフバランスを重視した開業を希望する先生方にとって理想的な働き方と言えます。しかし、時短開業で稼働時間が短いということは、当然売り上げも診療時間に応じたものとなります。従ってクリニックの経費を抑えられる形で開業しないと、黒字になることが難しくなってしまいます。

クリニックの経営にかかる費用の大半は、家賃と人件費という固定費です。

ミニマム開業では、これらの固定費を抑えられることのできるシステムを、初めから計画することが成功のポイントとなります。

そのためには、まずはクリニックの立地条件として、より多くの患者さんに来ていただくことのできる、患者さんがクリニックの存在に気が付きやすい立地を選ぶことです。

その上で、賃料の総額を抑えるために可能な限りコンパクトなスペースのテナントで開業することです。

立地条件が良いということは、テナント賃料の坪単価が高くなりますので、コンパクトなスペースのテナントを契約して、総額で40万円前後の賃料に抑えられれば、年間で賃料の負担を500万円以内と、通常よりもかなり軽減することができます。

ただし、コンパクトなスペースで開業する場合には、クリニックのレイアウトを熟知した内装設計や内装工事に熟練した設計士や工事会社に依頼しなくてはなりません。

小さなスペースであるがゆえに、下手な設計士や内装工事業者に依頼すると、見せかけの工事費用は安く済むかもしれませんが、実は売り上げを伸ばすことが難しい、診療効率の悪いクリニックが出来上がってしまいます。その結果、クリニック経営を黒字にすることが大変難しくなってしまいます。

クリニック内装に使用する建築資材は同じであっても、作り手が未熟であれば良いクリニックはできません。

コンパクトなスペースでも最大限の診療効率が上げられるクリニックを作るためには、経験の豊富なクリニック設計専門業者に依頼することがとても大切なポイントとなります。

時短開業によるミニマム開業

時短開業によるミニマム開業

次に、時短開業を前提として人件費を抑えるために、診療時間を10時から16時の間に設定することで、職員さんを全員パート勤務で揃えることが可能となり、人件費を大幅に安く抑えることが可能となります。お昼休みの時間を最小限にすることで、実働6時間くらいの診療を行うことができますので、予約患者さんで埋まってくれば普通に開業しているクリニックと大差ない売り上げとなります。

時短勤務であれば、子育て中の女医さんと同じ様に、小さなお子さんのいる看護師さんや事務職員をパート勤務で採用することができるので、人材不足の時代ですが採用がしやすくなると言うメリットもあります。

こうした黒字経営の基礎をつくっておくことで、将来、お子様が大きくなって母親の手を離れて行く頃には、診療時間を延ばしてより多くの患者さんに来ていただき、売り上げを大きく伸ばすことも可能です。

開業コンサルタントに依頼するときは、ミニマム開業の知識と経験を持った人に依頼することをおすすめします。

将来、ミニマム開業を考えている医師の貯金の勧め

将来、ミニマム開業を考えている医師の貯金の勧め

ミニマム開業の大きなメリットの中に、初期投資が比較的少なく済むということがあります。

ただし、そうは言っても新しい事業を創業するということになりますので、初期投資が数千万円になることはやむを得ないでしょう。

開業資金は銀行から借りることが一般的

当然、事業に要する資金は銀行からの借入れでまかなうことが一般的です。ところが銀行からなるべく借金したくないと言う考え方をする人がいますが、自己資金が十分にある場合は別ですが、新規に事業を開始する場合、大変にリスクの高い危険な考え方と言えます。赤字が続いて現金がなくなってしまったら、クリニックは倒産してしまうからです。

借入金が多くなると、借金を返せなくなったら怖いので、なるべく少なめにギリギリの金額を借りて開業したいという考えの先生が多いことも事実です。

しかし、銀行から余裕をもって資金を借りることが、結果的には安定経営につながるのです。

当社では、成功する開業は例外なく、十分な資金を準備してリスクに備えることを資金計画の基本と考えています。

事業の基本は必要な資金の全額を借入金で賄うことです。そして、借入金は事業活動から生まれる利益によって返済していきます。つまり、借入れたお金を返せない様な事業であれば、やるべきではないということです。

自己資金が必要な理由とは?

では、自己資金は必要ないかというと、それはまた別の話で、自己資金はもちろんあった方が良いです。自己資金を貯蓄しておくことも事業を起こすにあたりとても大切なことと言えます。

開業支援をする会社のホームページを見ていると、「自己資金がなくても開業できます。」ということをアピールして集客をしている会社がありますが、これもまたおかしな話です。そもそも医師として十分な給与を得ていながら、貯金できない様な人が数千万円の資金を借入れて事業を創業するというのは、今の時代にはおかしな話だと思います。

では、自己資金がなぜ必要になるかというと、それは立地条件の良い開業物件を見つけたらすぐに契約をできるように準備しておくためです。理想的な開業場所を見つけた時にすぐに契約出来る様に準備しておかなくては、せっかく出会ったテナントを他の人に取られてしまう場合があります。

そうでなくても、大家さんからすれば契約条件が整えば早く契約して家賃を払ってもらいたいというのが本音です。

ところが、テナント契約の資金まで融資に頼ろうとすると、少なくとも3ヶ月くらいの期間がかかってしまいます。その間に他の人に契約をされてしまったら、また物件の探し直しになりますが、また良い物件を発見しても3ヶ月待ちとなってしまいます。

そのため、良いテナントを見つけたら確実に確保するために、すぐに支払いが出来る様にするために自己資金が必要となるのです。

また同時に、銀行から融資を得ようとして申し込み資料を揃える中で、自己資金や資産の額が多いほど融資の審査にも有利になります。

そうした理由から、将来開業を考える医師はなるべく貯金をする様に心がけてください。

ミニマム開業であれば、必要となる自己資金も少なくて済みます。

以上、ミニマム開業のメリットやデメリットをご紹介しつつ、ミニマム開業の意味や子育てと相性の良い開業方法、ミニマム開業の流れ、開業を考えている医師は自己資金をためることが大事であることを述べました。

ミニマム開業でリスクの低い開業をするためには、立地条件、内装工事、自己資金の3点が重要であることをお判りいただけたことと思います。そして、何よりもそれらのことを的確にアドバイスをしてくれる開業コンサルタントと出会うことが大事になります。

当社では、ミニマム開業で失敗しないための開業セミナー&相談会をオンラインで開催しています。1時間のセミナーを無料で開催しているので、特に子育てとキャリアを両立させたい女性医師の方は、ぜひご利用ください。

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