クリニック開業コンサルの支援内容とは?2(開業半年前~開業直前)

クリニック開業コンサルの支援内容とは?2(開業半年前~開業直前)

クリニック開業コンサルティングQ&A

公開日:
最終更新日:

当社のクリニック開業コンサルティングでは、開業を考えたときの最初のご相談から、オープン後の経営管理まで、トータルにサポートをいたします。

ご支援の内容のスケジュールはおおよそ次のようになります。

  1. 1. 1年以上前:場所と資金とタイミング
  2. 2. 1年前から半年前まで:開業場所の調査と準備
  3. 3. 半年前:テナント契約
  4. 4. 半年前から3ヶ月前:資金調達、内装工事の設計、各種のプランニング
  5. 5. 3ヶ月前から開業直前:内装工事、スタッフ募集、各種申請、関係業者との取引契約
  6. 6. 開業直前と開業日まで:診療シミュレーション、内覧会と開業準備

当社がクリニック開業に際しどの様なコンサルティング支援をしているのか、開業の順を追って前編・中編・後編の三部でご紹介いたします。

この記事では、中編として3~5番目の半年前から開業直前までの準備とコンサルティング内容についてご説明いたします。

前編は1~2番目の内容を、後編では6番目の内容をご紹介しています。先に前編の内容を知りたい方は「クリニック開業コンサの支援内容とは?1(開業1年前~半年前)」を、後編の内容を知りたい方は「クリニック開業コンサの支援内容とは?3(開業直前~開業日まで)」をご覧ください。

開業準備のご支援(開業半年前から開業1カ月前まで)

開業準備のスタートは開業場所が決まってからが本格的なスタートとなります。

それまでにやってきたことは準備の前段階にすぎません。

テナント契約が済んだら、速やかに開業できるように多岐に亘る分野の開業準備を並行して進めなくてはなりません。

開業半年前から3ヶ月前までの主な準備

開業半年前から3ヶ月前までの主な準備

テナント契約が完了するのが開業半年前です。開業半年前から3ヶ月前までの主な準備には、次のことがあります。

  • 開業資金の融資を受けるための融資契約の準備
  • クリニックの内装工事のための建築設計とデザイン計画の準備
  • 開業した後に継続して取引を行う関係業者とのヒアリングと契約条件の調整の準備
  • 電子カルテや医療機器の選定に関わる各社のヒアリングと製品のデモの準備
  • 職員の募集と採用のための処遇の計画を策定する準備
  • ホームページの制作や開業の宣伝のためのプロモーションの準備
  • 保健所や厚生局と消防署への申請の準備

これら多くのことを並行して進めなくてはなりません。しかもこれらの計画を描く準備に費やす期間は3ヶ月程度に納める必要があります。

当社のコンサルティングをご依頼いただきますと、これらのスケジュール管理をコンサルタントが行うので、医師は心労少なくして開業準備に取り掛かることができます。

事業計画作成支援

事業計画作成支援

事業計画は、開業ご希望の地域が決まりましたらその地域でのテナント料金の相場で概算の事業計画を作成いたします。事業計画のプランは、たくさん集患できた場合、普通の場合、あまり集患できなかった場合を想定して、複数作成します。

テナント場所が決まって契約が完了したら、必要な事業資金が明確になるので、改めて現実に沿った事業計画を作成いたします。

また、正式な事業計画の他に資金調達用の事業計画も作成いたします。資金調達用の事業計画は、メガバンクが資金を貸し出しやすい内容にすることが大切です。

資金調達のための事業計画も、当社コンサルタントにお任せください。

テナント契約の支援

テナント契約の支援

テナント契約を進めるときに、次の3点についてご注意ください。

テナントの電源設備

クリニックの診療内容によっては、大容量の電源設備が必要な場合があります。美容皮膚科クリニックでレーザー治療器を導入したり、呼吸器内科クリニックで高画質のレントゲン撮影装置を導入したりする場合です。

テナントビルに必要な電源の余裕がない場合は、電源の増設工事にかかる費用をクリニックが負担することになり、開業資金が余計に必要となる場合があります。

大容量の電源設備を必要とする医療機器を導入する場合は、テナント契約をする前に電源容量の確認が必須です。

賃貸契約の内容

テナント契約の種類には、普通借家契約と定期借家契約があります。

普通借家契約というのは、従来から有る普通の賃貸借契約です。基本的に契約の更新が出来ますので、よほどの問題がない限りは、追い出されることはありません。

定期借家契約は簡単に言うと、契約期間を過ぎたら出て行かなくてはならないと言う契約です。建物が古くて、いずれ建て替えや再開発事業などをしたい場合、従来の普通借家契約では入居者に退去してもらうことが困難となるため、契約期間の終了により退去させることが可能な契約です。2000年の3月から借家法に定期借家契約という契約方法が加わりました。

テナント契約の際は、普通借家契約であることを確認してください。

火災報知設備の増設

良いテナント物件が見つかっても、クリニックが初めて入居する場合には消防法でひっかかってしまう場合があります。クリニックが入るテナントビルには、オフィスとは異なり火災報知設備を追加しなければならない場合があるからです。

もし、火災報知設備が法律で規定された内容に満たされない場合は、基本的に入居するクリニックがそうした火災報知設備の工事費を負担することになります。そうなれば、電源設備と同様に開業資金が余計にかかってしまいます。

このようなことが突発的に発生しないように、一級建築士の資格を持つ開業コンサルタントがテナント契約前に事前にチェックしますのでご安心ください。

開業3か月前から直前までの主な準備

そして次の3ヶ月では、具体的に計画を実行に移します。その主な内容は、次の通りです。

  • 銀行との融資契約を締結して開業の資金を調達
  • 内装工事に着工
  • 内装工事完成後に納品する家具や備品・医療機器を発注
  • 採用する職員を決定
  • 開業の直前には開業準備のトレーニングを実施
  • 院内で使用する医薬品や消耗品の発注

こうした具体的な開業準備を実施していきます。もちろん他にも準備することがありますが、コンサルタントが順次アドバイスをいたしますので、ご安心ください。

税理士さんを選ぶ時のアドバイス

税理士さんを選ぶ時のアドバイス

クリニック開業後に業務の委託をする先の1つに税理士さんがいます。当社のコンサルティングでは、税理士さんの選び方についてもアドバイスをしています。

開業して事業を継続している間は、会計帳簿の作成や職員さんの給与計算など毎月の業務の他に、決算と税務署への確定申告を行うためにも税理士さんの支援が必要となります。

先生方の多くは勤務医であることから、普段は税理士さんとのお付き合いがないためにどのような基準で税理士さんを選んで良いのか判らないというのが本音だと思います。

税理士さんを選ぶ基準とは?

税理士さんを選ぶ基準として必要なことは、まず税理士さんに委託する業務を明確にしておくことです。そして数件の税理士さんにヒアリングして委託する業務の料金も確認して、業務を委託する税理士さんとの相性も考慮して決定することが大切です。

長くお付き合いをする税理士さんですので、料金に納得した上で、相性の良い人を選ぶことがポイントです。

税理士さんに委託する業務内容とは?

税理士さんに委託する業務の内容としてまず必要なことは、会計帳簿の記帳代行という業務です。

開業を果たして事業活動を開始すると、毎日のように頻繁に現金の出入りが続きます。そうした日々の現金の出入りを正確に記帳することで、一年の事業活動を総括する決算につながります。

ただ、こうした会計帳簿を作る作業は決して難しいことではないのですが、単調で時間のかかる作業となるので、開業して毎日の診療業務に集中しなくてはならないドクターからすれば面倒なものです。会計帳簿を作る作業を一括して外注してしまうことで、より診療に集中することができてクリニックの利益を上げることが可能となります。

次に毎月必要となる給与計算を委託業務として依頼することです。給与計算自体は難しいことではありませんので、市販のソフトを使って行うことも可能ですが、職員さんの給与計算は一円たりとも間違えることは許されません。また、雇用労災保険や住民税の天引きなども給与計算に織り込まなくてはなりません。

さらに、12月には年末調整も必要となります。こうした業務を専業としているのが社会保険労務士さん、いわゆる社労士さんですがクリニックが雇用する職員さんの数は少ないので、こうした給与計算も含めて税理士さんに一括して依頼することが合理的です。

このように税理士さんに委託する業務を明確にしておかないと、細かい資料の整理などをドクターご自身で行わなくてはならなくなり、本来すべき日常の診療業務に集中することが難しくなって、得るべき売り上げまで逃してしまうことになりますので、税理士さんを選ぶ時にはこうした点を十分にご注意ください。

職員募集の支援

職員募集の支援

職員募集についてのアドバイスは、開業コンサルタントの経験が特に活かされるところです。

職員の採用で最も大切なこと

職員さんの募集に必要なことは、トラブルを起こしそうな職員さんを事前に察知して採用しないようにすることです。

職員募集の方法としては、勤務先で一緒に働いていた職員さんにお声がけする縁故採用と、職員募集広告を出して一般公募する方法があります。いずれの方法で採用するにしても、クリニックの業務内容はだいたい決まっていますので、スキルが問われるほどの難しいことはあまりないと思います。

職員募集の際に一番肝心なことは面接でなるべく詳しく応募者の人柄を確認しておくことです。

「職員採用の面接時にプライバシーに関わる質問をしてはいけない。」という面接のマニュアルがありますが、そうしたことは「働かない人がいても潰れない大企業の職員採用に関わる問題だ」と思ってください。

個人開業のクリニックの場合には職員さん一人一人の働きが経営の安定と営業利益に直結していきますので、トラブルメーカーとなるような職員さんを雇用しておくゆとりはありません。

職員採用の決め方

職員さんの採用には、まずは履歴書を見て書類選考をして面接すべき応募者を選定するところから始まります。次の段階として実際に応募者と面接することになりますが、クリニックの職員として採用する方は若い女性が多いので、私生活を確認しておくことも重要です。

実家から通うという職員さんにはさほど不確定な要素は見つからないのですが、地方から上京して独り暮らしをしている独身の女性の場合には、私生活の面で色々とトラブルの元になることもあります。

彼氏がいて同棲していたとしてもキチンとした生活をして、仕事に励んでくれれば問題はないのですが、お相手の生活が不規則でそれに振り回されてクリニックの勤務スケジュールに穴を開けてしまうという人もいます。

また、クリニックのお給料だけでは生活費を賄うことができなくて、勤務が終わった後に夜のアルバイトする人もいます。

そうした事情は表面的な面接ではわからないので、応募者個人のプライバシーに踏み込んだ内容の質問をすることも必要です。

採用した後ではできない質問も、面接の時に聞いておくことでトラブルの種を事前に摘み取ることができるようになります。

実際に面接の段階になりましたら、コンサルタントが面接方法をアドバイスいたしますので、ご安心ください。

雇用契約のタイミングについて

もう1つ大切なことがあります。それは採用の手順としてクリニックが開院してから正式に採用の雇用契約を行うことです。

採用の内定を出してから開業準備のためにクリニックで勤務してもらうまでには、およそ1ヶ月以上の期間があります。その間に開院準備の打ち合わせのために何度か臨時の勤務をしてもらって、揃えるべき消耗品やユニホームなどの相談を行ってください。

また、開業の半月くらい前からはクリニックの中で各種の備品の整理や、電子カルテと医療機器の取り扱い練習を中心として開院前のトレーニングを行います。

そうした機会に採用した職員さんに色々と仕事を指示することで、面接だけではわからなかったその人の勤務態度や性格なども観察することができます。

言ってみれば試験採用で勤務態度を観察するようなものですが、ここで院長の指示に素直に従わなかったり、勤務態度が悪かったりするような人は、開院する前に採用の内定を取り消して、丁重にお引き取り願った方が懸命です。

内定取り消しを初めてするドクターにとっては、職員さんを解雇するという事はとても辛く感じると思いますが、クリニックの安定経営のためにそういったアドバイスもさせていただきます。

開設届の支援

開設届の支援

当社のコンサルティングでは、開業届などの各種申請もご支援しています。

開設届は保健所と厚生局、それから消防署への届け出が主なものですが、いずれもお役所なので融通を利かせてもらうことができません。

そうした事情を踏まえて、それぞれの役所が要求している書類と資料を完璧に取り揃えなくてはなりません。

特に保健所へ開設届を出す場合には、管轄する地域や担当する職員さんによって審査基準が微妙に違ってくることがあるので、必要な手続きをよく確認しながら開設届の準備をしていくことが大切です。

クリニックの名称

開業届の内容で最初に確認すべきことは、クリニックの名称が許可されるかどうかです。医療法の中では大げさな名前を付けることは禁止されています。

また、同じ地域の中で似たような名称をつけると、地域の患者さんが誤解する恐れがあるということで、これも保健所から是正の指導を受けることになります。

クリニックの建築設計

次に建築設計に関してです。届出の際に、クリニックの建築設計も確認対象となっています。主な確認事項は、次の3点です。

  1. 1.患者さんと職員の動線が分離されていること
  2. 2.クリーンとソイルのエリアの分離が明確であること
  3. 3.麻薬や劇薬・毒薬などを保管する場合に安全性が確保されていること

建築計画に関する事前確認をして設計計画の了承を得てから内装工事にかかることが必要です。

こうした事前の手順を踏んで許可を得ておかないと、内装工事が完了した後に医療法の指導基準に適合しなかったことが発覚した場合、内装を作り直すまでクリニックの施設として認めてもらえない事もあります。

当然のことながら、改装の作り直しにかかる費用も予定外の支出となりますし、クリニック開院の時期も大幅に遅れて、開業する前から大きな損失を被ってしまうことになります。

当社のコンサルタントは、各種申請に精通しているだけでなく、一級建築士の資格を持っているのでご安心いただけます。また、当社で内装設計も行っているので、お気軽にご相談ください。

診療時間

次に診療時間ですが、この時間が短すぎる場合には厚生局への保険医療機関の指定申請が通らない場合があります。

最近は女性医師が時短開業に取り組む例が多くなっていますが、これもあまり極端に短い時間帯のみの診療を計画していると、保険医療機関の指定申請の際に指摘されることがあります。

健康保険制度の趣旨は『いつでも・誰でも・どこでも』保険で必要な医療が受けられるというものなので、あまりに限定的な診療時間を設定すると「健康保険の制度にそぐわない」という判断をされてしまうことがありますので、診療時間を決めたら事前に確認をしておくことが必要です。

他にも、ホームページや開院告知のチラシ、クリニックの看板のデザインや記載して良い内容なども医療法に定められています。それらの基準に適合した内容であるかどうかを保健所との事前協議の中で確認しておかなくてはなりません。

当社の各種申請支援では、これらのことを考慮して申請書類をそろえるアドバイスをしていますので、ご安心ください。

開業直前準備のご支援(開業1カ月前)

開業直前準備のご支援

開業1カ月前になると、ドクターとコンサルタントが中心となって、開業場所の選定・開業資金の調達・内装工事の設計と施工・ホームページの製作・看板や各種デザインの作成・職員さんの募集と採用など、新規開業するクリニックの大きな幹となる部分での開業準備がほとんど完了している状態です。でもそれだけでは実際には開業して診療を行う事はできません。

開業準備の最終段階としては、職員さんを交えた具体的な開院準備が必要となります。

医療機器や医薬品、医用備品・各種の医療用消耗品、ディスポーザブル製品などから、ユニホーム・文具やコピー用紙の準備に至るまで、実際にクリニックの診療活動を行うために必要な多くの物品を購入してとり揃える必要があります。

そのためには先ず、医薬品や医療用の消耗品などをクリニックに販売する医薬品の卸業者さんと取引契約を結んでおくことが必要です。

医薬品以外の診療材料などは最近では、アスクルなどのネットで購入することが多くなってきましたが、各種のワクチンなども含めて医薬品の購入は、スズケン・アルフレッサ・メディセオなどの医薬品卸会社から購入することになります。医療用の備品や消耗品などもこうした卸業者から購入することが一般的です。

大きな病院の場合にはそこに出入りしている医療機器販売業者さんが、備品や消耗品などの販売まで行うのですが、クリニックの場合には取引金額が小さいので、医療機器の販売業者は取引をしても赤字になってしまうことから、クリニックに営業に来ることはありません。

医薬品の卸業者さんにしても医療機器の販売会社と同様に、クリニック単体の取引では取引金額が小さいので赤字になることに変わりはないのですが、クリニックが発行する処方箋を近隣の調剤薬局が受けることから、医薬品の販売先の大きな部分を占める調剤薬局への営業活動の一環としてクリニックと取引をしようとするのです。

このように、医薬品の卸会社との取引が必要となってくるのですが、この段階になってくると院長一人でやろうと思っても、忙しくてできるものではありません。そこで採用の決まった看護師さんを交えて院長と医薬品卸の担当者の間で、商品の選定と発注を行うことで効率的な消耗品の取り揃えができるようになります。

当社のコンサルティングでは、こうした取引先についてもアドバイスいたします。

開業半年前から開業直前までのクリニック開業コンサルティングの支援内容(中編)をご紹介いたしました。続いて、後編のクリニック開業コンサの支援内容とは?3(開業直前~開業日まで)をご覧ください。まだ、前編をご覧になられていない方は、クリニック開業コンサの支援内容とは?1(開業1年前~半年前)をご覧ください。

当社のコンサルティングについてもっと知りたい方や実際の開業相談をしたい方は、当社までお気軽にご相談ください。クリニック開業成功のポイントを知ることができる「クリニック開業Webセミナー&個別相談会(無料)」も随時承っています。どうぞご利用ください。