2020年の開業規制とは医院開業や医院経営、クリニック開業の支援ならオクスアイ

2019年9月11日更新
2019年7月12日作成
クリニック開業の心構え

2020年の4月から、クリニックの新規開業について規制がかかるという話は、開業を考えている先生方の中には、気になっている方も多いかと思います。
今回は、その新規開業の規制についてのお話しをさせて頂きます。

1.クリニックの新規開業について規制がかかる。

まずは2020年の開業規制について簡単に説明しますと、従来から言われている

「地域によって外来医療の機能が偏っている問題」を解消するため、2020年度以降「外来医師多数区域」と指定された地域で、新規開業するクリニック(診療所)に新ルールを適用しましょう。

というものです。

ただ単純に新規の開業を規制するとなると、憲法で保証された営業の自由など、様々な問題点が浮かび上がってきますが、これらを考慮に入れながらも、本来の目的(地域によって外来医療の機能が偏っている問題)を解消できるようなルール作りが、今進められています。

現在は、最初の方針が提示されて以降の分科会にて、内容の検討がさらに進められており、「外来医師多数区域」をどのように位置付けるのかまで、作業が進められているようです。

2.外来医師多数区域はどこか。

では、今回の規制を受けると思われる「外来医師多数区域」とは、どの地域を指すのでしょうか?

今までは「地域の医師が多いか少ないか」の判断は、「人口10万人対医師数」が用いられていました。

しかしこれは、地域ごとに異なる状況を考慮していないやや乱暴な指標となっており、その地域の本当の医療ニーズが曖昧になり、正しい対策ができないと言われていました。

そのため、これからは「真に医師が不足している区域」をきちんと把握するために、地域住民の年齢や性別などの様々な情報を加えて「医師偏在指標」や「外来医師偏在指標」を定めることになりました。

そうは言っても、東京近郊など大都市圏での開業は間違いなく規制の対象となるでしょう。

3.開業過密地域外への誘導。

そうなると、新しく指定された「外来医師多数地域」が、2020年度の開業規制にどのように関わっていくのかが気になります。

都道府県は、まずその地域が「外来医師多数区域」であることを、周知しようと考えているようです。

例えば、開業にあたって参考となる他のデータと併せてホームページなどのウェブサイトに掲載したり、診療所や病院の所在地等を地図上に示したりなどです。

また、開業の際に資金の調達を担う金融機関等に対しても、情報提供を行う考えのようです。

こうした情報提供を行うことによって、新規開業を希望している人が地域間の開業の状況を簡単に比較できるようになり、開設地域を自ら見直すといった判断を促せるのではないか。
と期待している様です。

例えば、ある医師がA都市での開業を考えた際に「A都市ではすでにクリニック(診療所)が多数開設されている」

「地域の人口は減少傾向に入っている」などといったデータを目にする機会があれば、
「A都市での開業は控えたほうがよさそうだ。医師が不足しているB地区での開業を検討しよう」と考えるだろう、
ということです。

4.今後の新規開業はどうなるのか。

東京近郊などの大都市圏での新規開業は、今後どのようになるのでしょうか?

外来医師多数地域と指定されそうな地域での開業をお考えの先生には、特に関心の強いことと思います。

たとえ行政が情報提供をして開業地域を他の地域へ誘導したとしても、自宅や勤務先に近いなど、様々な理由から都市部で開業したいと考えている先生に対して、開業自体を禁止することはできません。

しかしながら、規制前と同じように開業できるかというと、なんの条件もなく今まで通りに開業届を受理することもないでしょう。

ではどの様になるかというと、地域ですでに充足している外来だけを行うのではなく、「その地域で不足している医療機能」への参加が求められて来ます。

5.地域で不足している医療機能とは。

日本は既に超高齢化社会となっており、医療や福祉などは増え続ける高齢者の問題に対応することが、緊急の課題となっています。

例えば、救急搬送については高齢者の件数が近年増加しており、中でも軽症(一次救急)の割合が多くなってきています。

また、在宅医療が進む中で、訪問診療の件数も増加の傾向にあります。

地域医療においてこれらの医療機能は、今後さらに重要な位置付けとなっていくと考えられるでしょう。

このような状況を踏まえ、東京近郊の「外来医師多数区域」で新規開業するクリニック(診療所)には「条件」を課す方向となります。

6.新規開業するクリニック(診療所)に課す条件とは。

ここでいう条件とは、どのようなことでしょうか?

今、地域に必要とされる医療機能としては、在宅医療、初期救急(夜間・休日の診療)、公衆衛生(学校医・産業医・予防接種等)などが挙げられており、新規開業のクリニックにもこれらを担うように求められています。

具体的には、開設の届け出を行う際に、上記のような「地域で不足している医療機能」を担うことに合意する旨を記載する欄を設け、確認できるようにする事になります。

それは、テナント開業の「ビル診」であっても、自由診療(美容整形など)のみを提供するクリニックであっても、同様の手続きを踏むことが求められる様です。

もちろん新規開業時にこのような条件を課すことは、新規の参入自体を抑制することが目的ではありません。

医療資源は限りがあるので、それを地域医療に対してより有効活用していきたいという考えがベースにあり、そのためには既にクリニックが充足している地域での新規開業に対して、「より大きな地域医療への貢献」を求めていく、という事の様です。

まあ、実態としては在宅医療・休日夜間診療への対応を求められてくるのでしょうが、専門とする科目が合わない場合の対応をどうするのかが難しいところだと思います。

7.2020年度以降の開業。

今回の医療政策の方針は、「医療供給体制の規制」が実際に行われるかどうか、そしてどのように行われるのか、という点で注目されています。

既に精神科などを含めて、条件を付けられない内の駆け込み開業の動きも見受けられています。

出典サイト:厚生労働省_医師需給分科会(各回情報)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_318654.html

出典サイト:厚生労働省_医療従事者の需給に関する検討会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei_315093.html

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記事監修者

コンサルタント
一級建築士
金村かねむら 伯重のりしげ

金村伯重

経歴

昭和54年
病院システム開発研究所 入社
東京医科大学病院、焼津市立病院、富士市立中央病院、沼津市立病院、富士宮市立病院などの建替計画に参画
昭和59年
医療機構開発株式会社 入社
町立浜岡病院(現御前崎市立病院)新設に参画
昭和63年
オクスアイ医療事業開発株式会社設立

以来30年以上に亘り、数多くのクリニック開業をサポートしている。

総合病院であらゆる診療科目の医療現場に携わり、多岐に亘る分野の技術に精通する。また一級建築士である事から、施設造りまで自社で一貫して行う。クリニック開業を成功に導くソフトとハードの技術を確立し、他に例を見ないコンサルティングを実践。これまでサポートしたクリニックを全て成功に導いている。