韓国「産後調理院」と産後ケアサービスの現状医院開業や医院経営、クリニック開業の支援ならオクスアイ

2013年7月12日作成
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オクスアイは、基本的には関東地方を中心にクリニックの開業コンサルティングをしていますが、2013年6月、韓国に出張する機会がありました。

KOTRAと呼ばれる韓国の貿易振興公社(日本のJETROのような組織)から問合せがあり、是非協力してほしいとの依頼を受けてのものです。

韓国で急成長している産後ケア施設、「産後調理院」を日本で普及させるために、医療を良く知るコンサルタントとしてアドバイスが欲しいとのことでした。

今回は開業に直接関係するお話ではないかもしれませんが、医療の現状を幅広く理解する良い機会です。

韓国出張で手に入れた「産後調理院」の情報と、韓国と比較した日本の産後ケアの現状についてお話をしたいと思います。

産後調理院とは?

「産後調理院」とは、韓国にある出産の後の女性を総合的にケアする施設です。

女性が出産後に体型を元に戻すため、体重や骨盤の管理や、母親になるための教育などが含まれます。
「出産後の母親をお姫様のように」大事にいたわる施設と言われています。

韓国では、出産する女性(年間約40万人)のうち、18万人が利用しているとのことなので、2人に1人くらいは利用しているということになります。

女性が出産する場合、昔は実家に里帰りすれば世話をしてくれる家族や親戚が身近にいましたが、伝統的な家族関係がなくなりつつある現在では、身内に頼るのは難しくなっています。

そこで、「家族ができないことを民間が行う」という流れから、最初は20年程前に「産後調理院」のサービスがスタートして、今では韓国で社会的に完全に認知されたシステムとなっています。

日本ではそのようなシステムがありませんので、女優の小雪さんが利用したこともあり、日本からの問い合わせもあるようです。

そのような事から、韓国では企業の海外進出として、産後調理院の日本進出を検討しているようです。

医療行為でない産後ケアと、その急成長

韓国の産後調理院は20年程前に小さな業者から始まりましたが、当初は「良いビジネス」だったようです。

韓国では、産後ケアは医療行為とされていません。

出産後の母子の宿泊と生活のお世話をすると言うサービスなので、空きビルを利用すれば、誰でもどこでも事業を開始することができました。

当初は1年で投資を回収できた新たなビジネスモデルだったようです。

ある意味「簡単で」「もうかる」ビジネスだったため、その後産後調理院は爆発的に増加することになりました。

結果として粗悪な業者も出てくることになります。
避難路の整備されていない雑居ビルの中で開業したために、火事で母子が死亡したりする事故も起きてしまいました。

そのため、「質の悪い」産後調理院を取り締まる法律ができ、現在は建物に関する基準や看護師の常駐が義務付けられるなど、安全な運営のための仕組みが強化されてきました。

1つの産後調理院あたり20人くらいの入居人数で、2週間入居のスタンダードプランで日本円にして20万円くらい、最高級になると200~300万円になります。

個人で開業している業者もあれば、フランチャイズ化して大規模にビジネスを展開している企業もあります。

今後はアジア全域にサービスを広げたいと考えているようで、すでに中国に進出している企業もあります。

中国では、まだ法律も整備されていないようなので、ビジネスとしての制約は緩いのですが、現地の人材の育成には苦労しているようです。

日本での産後ケア

日本でもいくつか産後ケアの施設があります。

例えば平成20年に東京都世田谷区の助成で大学が運営を開始した、産後ケアセンター(正式名称は「武蔵野大学附属 産後ケアセンター桜新町」)です。
実際に見学もしてきました。

この産後ケアセンターは、最初は利用者は少なかったようですが、現在では満室が続いています。

1泊2日で64,000円、一週間の入居で224,000円ですが、世田谷区民はその1割負担で済んでしまいます。
これなら利用者が増えてもおかしくありません。

産後ケアセンターは、産後うつやノイローゼーが増加してきたことを背景に、お母さんになるための教育も兼ねて設立されました。
武蔵野大学が看護実習の場として開設し、世田谷区が助成しています。

韓国が「お母さんをお姫様のよういたわる」という目的に対し、日本の産後ケアセンターは、出産後の事故が起きないように教育する場という意味合いが強い様です。

日本でも、出産には病院を利用するケースがほとんどですが、退院した後に実家でお世話をしてもらえない人が増えています。

現状の行政の対応としては、市町村が設置している「母子健康センター」が相談や指導をしてくれる程度です。

そのような現状を踏まえ、日本政府は今年5月に、少子化対策の一環として産後のサポートを積極的に行うことを発表しました。
「産後ケアセンター」を全国的に整備していくようです。

まだ具体的な内容は決まっていません。
今後産後ケアのサービスがどのようになっていくのかが注目されています。

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記事監修者

コンサルタント
一級建築士
金村かねむら 伯重のりしげ

金村伯重

経歴

昭和54年
病院システム開発研究所 入社
東京医科大学病院、焼津市立病院、富士市立中央病院、沼津市立病院、富士宮市立病院などの建替計画に参画
昭和59年
医療機構開発株式会社 入社
町立浜岡病院(現御前崎市立病院)新設に参画
昭和63年
オクスアイ医療事業開発株式会社設立

以来30年以上に亘り、数多くのクリニック開業をサポートしている。

総合病院であらゆる診療科目の医療現場に携わり、多岐に亘る分野の技術に精通する。また一級建築士である事から、施設造りまで自社で一貫して行う。クリニック開業を成功に導くソフトとハードの技術を確立し、他に例を見ないコンサルティングを実践。これまでサポートしたクリニックを全て成功に導いている。